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2016 年度 実施状況報告書

サンドとスタール夫人における音楽と旅:フランス革命とどう向き合うか?

研究課題

研究課題/領域番号 16K02534
研究機関神戸大学

研究代表者

坂本 千代  神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80170611)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードスタール夫人 / ジョルジュ・サンド / デルフィーヌ / ルードルシュタット伯爵夫人
研究実績の概要

スタール夫人とジョルジュ・サンドの作品で、フランス革命が関連するものを詳しく検討することによって、音楽、旅、革命がそれぞれどのように結び付けられているかを歴史的なパースペクティブおよびジェンダー論的な視点から明らかにするのが本研究の目的である。
平成28年度はまずスタール夫人の『デルフィーヌ』について研究をおこなった。これはナポレオンと彼女の不仲を決定的にした長編小説であり、同時代を活写した内容、そこに見られる革命観、当時の社会に対する批判に特に注目した。そして、新版を出すたびに大幅に書き換えられ、最終的に2つのヴァージョンを残すことになった結末部分の重要性がわかったので、これら2つを比較して検討した。次に、新結末が彼女の存命中には出版されなかった理由を考察し、こちらのほうがよりリアリスティックで、人間心理の分析、音楽についての考察などが深められていて、小説全体の統一感においても優れているが、作品中の革命観の展開や自由に対する圧迫についての糾弾では、元の結末のほうが迫力があり、ナポレオンから迫害を受けて長い間ヨーロッパ各地に亡命せざるを得なかった作者の怒りが元の結末をそのまま残させたのではないかと結論づけた。
サンドの作品では『ルードルシュタット伯爵夫人』を取りあげた。17世紀半ばのヨーロッパを舞台に、オペラ歌手のコンシュエロを主人公とした物語であるが、そこでは音楽、旅、秘密結社が重要な役割を果たしている。そもそも秘密結社とは何か、実在のフリーメイソンやイルミナティと「見えざる者たち」(サンドの創作した団体)との共通点・相違点は何か等について検討したあと、この作品中で音楽と旅と秘密結社がどのように結び付けられ、やがて起きるはずのフランス革命がどのように描かれているかを、当時の作者に大きな影響を与えた社会思想家ルルーの影響を考慮しつつ、検討をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

スタール夫人に関しては、上記の『デルフィーヌ』に関連する研究成果を論文「スタール夫人の『デルフィーヌ』について」として刊行した。サンドに関しては『ルードルシュタット伯爵夫人』についての研究成果を論文として執筆・脱稿し、2017年5月に投稿予定である。

今後の研究の推進方策

協力研究者マルティーヌ・リード氏(フランス・リール第3大学教授、2017年9月に招へい予定)および高岡尚子氏(奈良女子大学准教授)と緊密な連携をとって研究協力をおこなう。サンドおよびスタール夫人の作品中の「フランス革命観」に焦点をあてて、音楽・および旅とのかかわりに注目しながら詳しい考察をおこなう。特ににサンドの『ナノン』、スタール夫人の『追放10年』についての研究を深める。成果を論文にまとめ、海外あるいは国内の学会などで研究発表をおこなう。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] スタール夫人の『デルフィーヌ』について2016

    • 著者名/発表者名
      坂本千代
    • 雑誌名

      近代

      巻: 115 ページ: 1-17

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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