研究課題/領域番号 |
16K02534
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂本 千代 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80170611)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スタール夫人 / ジョルジュ・サンド |
研究実績の概要 |
スタール夫人とジョルジュ・サンドの作品で、フランス革命が関連するものを詳しく検討することによって、音楽、旅、革命がそれぞれどのように結び付けられているかを歴史的なパースペクティブおよびジェンダー論的な視点から明らかにするのが本研究の目的である。 平成29年度はまず、前年度からの継続として、サンドの『ルードルシュタット伯爵夫人』の研究をおこなった。17世紀半ばのヨーロッパを舞台に、オペラ歌手コンシュエロを主人公とした物語であり、そこでは音楽、旅、秘密結社が重要な役割を果たしている。実在のフリーメイソンやイルミナティとサンドの創作した秘密結社との共通点・相違点を検討したのち、この小説中で音楽、旅、秘密結社および革命がどのように結び付けられているかについて考察した。また、この作品の登場人物のモデルとなった実在の人物フリードリヒ・フォン・デア・トレンクの回想録の検討もおこなった。 次に、サンドの最晩年の小説『ナノン』(1872年刊)に関する研究をおこなった。この作品は1870年から71年にかけての普仏戦争、第二帝政崩壊、パリ・コミューンによってフランスとフランス国民が大きく動揺した時期の直後に執筆されている。故郷のベリー地方に暮らすサンドが戦争、新しい共和政、パリの反乱、新政府の政治家たちをつぶさに観察したあとで、約80年前に、ベリーの隣のクルーズ地方の農民たちの見た革命、共和制、恐怖政治、戦争などについて描いた歴史小説である。主に「女主人公の旅」「所有と金銭」「フランスと愛国心」という3つの側面からこの作品の検討をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンドに関しては『ルードルシュタット伯爵夫人』および『ナノン』についての2つの論文を刊行した。また、日本ジョルジュ・サンド学会で研究発表をおこなった。 協力研究者マルティーヌ・リード氏(フランス・リール大学教授)を2017年9月21日から10月2日まで招へいし、リード氏は大阪府立大学、西南学院大学、信州大学でシンポジウム・講演をおこなった。その成果の一部はリード氏の論文Pain ou galette ? Table et nourriture dans "Eugenie Grandet"として公刊されている。
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今後の研究の推進方策 |
スタール夫人の遺作『追放10年』について詳しく考察し論文を執筆する。次に、サンドとスタール夫人についての研究結果を比較検討して考察を深め、本研究の総まとめをおこなう。また、サンド作品の日本語訳についての講義をフランスでおこない、平成31年度以降の新しい研究計画の可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンドおよびスタール夫人に関する重要文献を、学年末近くになってフランスから購入しようとしたが、法人カード決済のシステム上それが難しいことがわかり、次年度に回すことにしたため次年度使用額が生じた。この分は来年度に文献購入費として使用予定。
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