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2018 年度 実績報告書

近代芸術形成期における文学と絵画の協働に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K02535
研究機関神戸大学

研究代表者

吉田 典子  神戸大学, 国際文化学研究科, 名誉教授 (20201006)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードエミール・ゾラ / シャルル・ボードレール / エドゥアール・マネ / ポール・セザンヌ / 美術批評 / 絵画と文学
研究実績の概要

本研究の実績は次の4点にまとめられる。
(1)1860年代のボードレールとマネの関係については、1年目にボードレールがマネに捧げた散文詩「紐」とマネの絵画についての検討を行い、2年目にはマネがボードレールを登場させた絵画《テュイルリーの音楽会》を通じて、1862年のボードレ―ルの美学とマネへの影響を論じた。3年目には「ボードレールとマネ関連資料」をとりまとめ、両者の関係を総合的に把握することを試みた。伝記的な資料には限りがあるので、実際の文学作品および絵画作品の分析が重要となることがあらためて確認された。
(2)ボードレールからゾラへの系譜について、これまでゾラはボードレールに無理解であったとする考え方が一般的であるが、ゾラの美術批評の随所にボードレールの美術批評からの影響が認められる。1年目にはこの主題について国際シンポジウムで報告し、2年目には研究論文として、両者の共通点と差異を整理して示した。またこの研究と平行してゾラの「わがサロン(1866年)」の新訳と関連絵画の調査を試みた。
(3)ゾラとマネの関係について、ゾラの自然主義が頂点に達した1880年に〈現代生活〉画廊で開催されたマネの個展とゾラとの関連について考察した。またマネとゾラを結びつけていた共和主義の政治的信条とマネのジャポニスムの関連について論じた。
(4)ゾラとセザンヌについては、ミトラン編の『往復書簡集』の翻訳を進めると同時に、3年目には『セザンヌとゾラの創造的関係を再考する」と題した国際シンポジウムを開催し、アラン・パジェス氏(パリ第3大学名誉教授)を招聘した。セザンヌ側から4名、ゾラ側から4名の登壇者が発表し、大きな成果を得た。吉田は初期往復書簡を出発点として、絵画と文学の問題を考察した。
以上の本研究の概要を京都大学仏文学会の招待講演で「ボードレール・マネ・ゾラの系譜をめぐって」と題して講演・執筆した。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] Baudelaire en 1862 vu par Manet : La Musique aux Tuileries et l’esthetique baudelairienne2019

    • 著者名/発表者名
      Noriko Yoshida
    • 雑誌名

      L'Annee Baudelaire

      巻: 23 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Cezanne et Zola : peinture et litterature ---Quelques reflections a partir des premieres lettres de Cezanne et de Zola2019

    • 著者名/発表者名
      Noriko Yoshida
    • 雑誌名

      Societe Paul Cezanne (http://www.societe-cezanne.fr)

      巻: - ページ: 掲載予定

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 「ボードレールとマネ関連資料」2018

    • 著者名/発表者名
      吉田典子
    • 雑誌名

      近代

      巻: 118 ページ: 27~58

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「ボードレール、マネ、ゾラの系譜をめぐって」2018

    • 著者名/発表者名
      吉田典子
    • 雑誌名

      仏文研究

      巻: 49 ページ: 171-193

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「ボードレール・マネ・ゾラの系譜をめぐって」2018

    • 著者名/発表者名
      吉田典子
    • 学会等名
      京都大学フランス語フランス文学研究会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] セザンヌ/ゾラ:絵画と文学2018

    • 著者名/発表者名
      吉田典子
    • 学会等名
      日仏美術学会国際シンポジウム「セザンヌとゾラの創造的関係を再考する」
    • 国際学会
  • [図書] 往復書簡集(1858-1878)2019

    • 著者名/発表者名
      ポール・セザンヌ、エミール・ゾラ(アンリ・ミトラン編)
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      法政大学出版局
  • [図書] 『明治初期洋画家の留学とフランスのジャポニスム』2019

    • 著者名/発表者名
      小林宣之、角田拓朗、吉田典子、六人部昭典、吉川一義
    • 総ページ数
      234
    • 出版者
      水声社
    • ISBN
      978-4-8010-0393-4
  • [学会・シンポジウム開催] 日仏美術学会国際シンポジウム「セザンヌとゾラの創造的関係を再考する」2018

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公開日: 2019-12-27  

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