研究課題/領域番号 |
16K02542
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
村田 京子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (60229987)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文学と造形芸術 / ジェンダー / 女性作家 |
研究実績の概要 |
6月にフランスで開催されたジョルジュ・サンド国際学会に参加し、フランス語による口頭発表を行った(ジョルジュ・サンドの『ジャンヌ』において、女主人公がしばしば「彫像」に喩えられているのに注目し、「彫像」の象徴的な意味をジェンダーの視点から探った)。 9月にバルザックの国際シンポジウム(Balzac et la representation de la Table)を大阪府立大学において主宰し、フランス語による口頭発表を行った(『人間喜劇』における娼婦と食の関係を絵画とも関連づけながら、ジェンダーの視点から探った)。フランス語の発表原稿はフランスのバルザック専門誌L'Annee balzacienne 2018に掲載予定。 10月の日本フランス語フランス文学会秋季大会において、ワークショップ「19世紀フランス文学における『男らしさ』の危機」でパネリストとして、19世紀フランス文学(ラトゥシュ『フラゴレッタ』、バルザック『サラジーヌ』『金色の眼の娘』、ゴーチエ『モーパン嬢』)における「男らしさ」と両性具有的存在との関係を絵画(ダヴィッド、ジロデなどの絵画)とも絡めながら探った。さらに、ワークショップでの発表論考を19世紀後半の文学・造形芸術(ユイスマンスの美術評、ゾラ『獲物の分け前』、女性作家ラシルド『ヴィーナス氏』、ギュスターヴ・モローの絵画)にまで発展させ、12月の女性学講演会で研究発表を行った。 以上のような研究活動によって、「研究目的」に挙げた、①19世紀フランス文学と造形芸術の相関性を、小説構造や小説美学と密接に関連させて考察・分析する、という目的を果たした。さらに、②の目的に沿って、女性作家(サンド、ラシルド)を取り上げると同時に、19世紀前半(ゴーチエ、バルザック)および19世紀後半のフランス文学(ゾラ、ユイスマンス)を取り上げ、ジェンダーの視点から分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1年間に2回国際シンポジウム(ジョルジュ・サンドとバルザック)に参加し、研究成果をフランス語で発表することができた。また、仏文学会のワークショップ、女性学講演会で19世紀文学全体における両性具有的存在を、絵画とも絡めながら「男らしさ」の観点で分析し、高い評価を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.男性作家が創造した「捨てられた女」のテーマ(オゥイディウスのサッフォー像に遡る)を女性作家(スタール夫人、サンド)がどのように扱っているのか、男性作家(バルザック)の作品と比べながら、ジェンダーの視点で検証する(絵画とも関連づける)。 2.19世紀フランスで有名な女優マリー・ドルヴァルが、女性の芸術家としてどのように生きたのか、ジェンダーの視点で検証する。また、ドルヴァルと親交の厚かったサンドが小説の中で女優をどのように扱っているのか、男性作家の作品とも比較しながら分析する。 3.バルザックの『ふくろう党』における男性、女性の衣装に注目し、モード雑誌や絵画等を参照しながら、衣装を通して男性像、女性像を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
フランスで開催される学会に参加するための旅費と、文献収集に使用するため。
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