研究課題/領域番号 |
16K02547
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
根岸 徹郎 専修大学, 法学部, 教授 (90349176)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フランス文学 / 文化外交 / 日仏交流史 |
研究実績の概要 |
平成30年度は本研究が対象としているフランスの外交官、詩人であるポール・クローデルの生誕150年にあたり、これまでの本研究の成果の一環として、計画書に記載した通り、関連機関との連携によって、国際シンポジウムおよび広く一般に向けた展覧会を開催した。 展覧会は平成30年5月19日より7月16日まで、横浜の神奈川県立近代文学館において「詩人大使ポール・クローデルと日本」という題のもとに、関連資料の開示と説明を行い、およそ3000人の入場者を得たことで、詩人および外交官としてのクローデルの日本における活動を、本研究の成果の一環として広く公開した。また、本研究の代表者根岸徹郎はこの展覧会において6月17日の講演会では司会、7月8日は講演者として参加した。 国際シンポジウムに関しては、11月3日、4日に東京の日仏会館における「ポール・クローデルの日本」で分科会の司会を務め、本研究成果の一部を開示した。さらに11月8日の京都のアンスティチュ・フランセ関西では本研究が共催となり、「東洋という偉大な書物を開く―クローデルと日本」という国際シンポジウムを開催し、日仏交流の歴史を考察した。このシンポジウムでは根岸は発表と司会を担当することで、本研究の成果を広く公開した。 以上の大きな企画以外には、6月1日の日本フランス語フランス文学会(獨協大学開催)における日本クローデル研究会で「クローデルとドイツ」というテーマで研究発表を行った。また2019年3月24日にはアンスティチュ・フランセ東京における「真昼に分かつ」上映会において根岸が司会を務めた。 出版物に関しては、上記の神奈川県立近代文学館での「詩人大使ポール・クローデルと日本」のカタログを編集し、「日本の古典芸能に魅せられて」と「外交官クローデルのまなざし」の2本を掲載することで、本研究の成果を広く公表するうことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランスの文化外交全体の調査に関しては予定よりも遅れている面があるものの、本研究の大きな柱としていたクローデルを中心とした調査、成果に関しては、本年の研究実績の項で記したように、神奈川県立近代文学館における「詩人大使ポール・クローデルと日本」およびそのカタログの制作と項目の執筆、東京の日仏会館および京都のアンスティチュフランセ関西における2つの国際シンポジウムにおける参加、発表によって、予定以上の成果を上げることができたと考えている。 とくに展覧会カタログで公表したクローデルの「外交官としてのまなざし」に関しては、読者およびシンポジウムの聴衆からの反応が積極的なものがあり、予想した以上の評価を得ることができたと考えている。 また、シンポジウム等を通して、参加したフランス人研究者との意見交換等も順調に行うことができたことで、残りの期間に達成すべき課題と取組味方の指針も明確に把握することができた。 以上のような観点から、現在、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は本研究の最終年となる。本年の研究実績の項および現在までの進捗状況で記したように、テーマの進行の度合に差はあるものの、公表すべき成果等は確実に出してきていると考えている。したがって、2019年度に行うのは最終的な統括の成果発表に向けての準備である。 この点に関しては、外交官クローデルの活動を軸とした調査と研究は、これまでの調査等による成果をよる深めることと、研究会等での発表、論文公表を通して、継続して成果公表を続けることで、全体のまとめを行う。 他方、フランスの文化外交に関しては、クローデル以外の活動により広く目を向けることで、テーマの研究を深化させる。この点に関しては、文化外交研究、ジロドゥ研究者等の専門家の力を借りて、年度内にシンポジウムを行う予定でいる。 そのための準備を通し、これまで収集した資料を整理、調査することによって、本研究の最終的な成果としてまとめることで、将来の報告書ないし刊行物につなげる資料体を構築する予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に開催した国際シンポジウムに関して、共催者(アンスティチュ・フランセ関西)からの出費および東京の日仏会館でのシンポジウムが招聘した講師の交通費等を道仏会館側が負担したため、当初の予定よりも本研究の負担が減少した。 本年度はその費用を資料等の収集に充てるとともに、フランスの文化外交に関するシンポジウムを企画、実行する経費として使用する計画である。
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