研究課題
基盤研究(C)
本研究は、シュルレアリスム芸術と理論における心霊主義の受容について、神秘体験の理論化と創作活動のモデルとして霊媒芸術が与えた影響という問題設定から明らかにすることを目指した。入手困難な資料を調査して分析するという文献学的作業を基本とした。雑誌、新聞や著作から当時の心霊主義の活動を再構成し、シュルレアリストたちの見解を参照しながらテクスト分析を行った。1920年代から1940年代に至るまで、霊媒芸術がシュルレアリスム運動の審美的な判断基準、理論、創作に対して影響を与えたことを論証した。
フランス文学、フランス美術
本研究では、これまであまり光の当てられてこなかった霊媒芸術が、1920年代から40年代までのシュルレアリスム運動の審美的な判断基準、理論、創作に対して影響を与えたことを明らかにした。加えて、本研究を進める過程で、ジョゼフ・クレパンというフランスの心霊主義を代表する画家に関するモノグラフを出版することによってフランス本国でもほとんど研究の進んでいない霊媒芸術の創作を日本で紹介することができた。