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2018 年度 実績報告書

フランス写実主義文学と「幻視」の系譜

研究課題

研究課題/領域番号 16K02553
研究機関立命館大学

研究代表者

橋本 知子  立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (60625466)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードフランス文学 / 19世紀
研究実績の概要

フロベール(1821-1880)を中心とする19世紀フランス写実主義における幻視の様相と隣接する諸現象(錯覚、幻想、夢想など)を分析し、そうした夢の領域にかかわる主題が、現実を克明に描くと考えられている写実主義文学においても反復されているという逆説性を考察する。また、写実主義文学の中の幻視がいかに知のディスクールに立脚しているかを検証し、文学がどのようにしてそこから離れ、さらにはどのようにして文学独自の作品正解を生みだすに至ったかを問うことで、19世紀の文学言説と科学言説とが培った関係性を明らかにする。
当該年度においては、幻視の様相が描かれているコーパスの選定を続行すると同時に、文学作品の読解と分析を行った。またそうした文学作品の背景にある科学言説の源である19世紀前半の精神医学関係の文献を、異なる版を読み比べることで、多角的重層的に影響関係を考察した。19世紀前半は精神医学において幻視や幻覚がさかんに論議された時代であり、専門書も版を重ねるごとに議論が先鋭化している。こうした背景を把握するために、文学者が参照した文献だけでなく、同じ文献のそれ以前およびそれ以後の版を参照することが重要であると言える。
学術成果としては、フロベールと同時代の作家であり、自身も幻視体験をえたというジョルジュ・サンドの小説作品との比較分析を行うフランス語論文を執筆し、研究雑誌に掲載した。これは、前年度においてユーゴーにおける幻視について分析した論文に後続するものであり、写実主義文学よりも時系列的に先にくると文学史上位置づけられている作品群との比較を通して、写実主義文学における幻視の諸現象を多角的に分析することを目的としている。このように、異なる文学潮流における同時代科学言説からの影響という観点からそれぞれの作品が帯びる差異を内在的および外在的分析によって明らかにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Violon, voix et "orgie d'imagination" : l'evocation sonore chez Sand et Flaubert2018

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Hashimoto
    • 雑誌名

      仏文研究

      巻: 49 ページ: 41-54

    • DOI

      10.14989/235566

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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