研究課題/領域番号 |
16K02556
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹峰 義和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20551609)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アドルノ / クラカウアー / フランクフルト学派 / メディア |
研究実績の概要 |
今年度は、1)アドルノの芸術論における「ミメーシス」の問題を、主体性/客体性、時間性/空間性のアポリアという観点から、アドルノのヴァレリー論の検証や、ヴァレリーの芸術哲学との比較をつうじて検証する作業 2)クラカウアーがヴァイマル時代に執筆したジャーナリスティックな論考をもとに、初期クラカウアーにおける身体表象とテクノロジーとの関連をめぐる問題を、「点状化」という概念をキーワードとして、時間/空間の相互陥入という観点から考察する作業 の二つを軸に研究活動をおこなった。前者の成果は、2017年10月に開催された日仏コレーク「芸術照応の魅惑 3 ヴァレリーにおける詩と芸術」で「絶対的なもののミメーシス――ヴァレリーを読みアドルノ」というタイトルで口頭発表するとともに、同名の論考としてまとめた(2019年3月出版予定)。後者の成果は、「点になること――ヴァイマル時代のクラカウアーの身体表象」という論考にまとめた(2018年12月に刊行予定の共編著『イメージ学の現在』(東京大学出版会)に収録される予定)。 また、関連する論考として、ストローブ=ユイレの映画作品をアドルノ美学の観点から読み解いた論考「イメージから抵抗へ――アドルノ美学とストローブ=ユイレ」、および大西巨人の小説作品におけるドイツ文学の影響について論じた「習俗的であることの悦楽――『神聖喜劇』と『トニオ・クレーゲル』」をそれぞれ発表した(共著として刊行)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
執筆作業に集中したために、予定していたドイツでの資料調査を実施することができなかったものの、研究成果を論考1本、口頭発表論文1本、関連論考2本にまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる2018年度は、1)初期クラカウアーの社会学関連のテクストを精読する作業 2)ベンヤミンの1930年代の叙事演劇論および関連テクストを「文字」と「遅れ」という観点から検証する作業 3)アドルノの音楽論における「沈黙」ないし「無声性」というモティーフを考察する作業 を軸に、フランクフルト学派および同時代の文化における時間・空間表象の問題を引き続き解析してく。可能であれば2018年8月にドイツで資料調査をおこなう。
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