本研究プロジェクトは、近代ドイツ文学における「抗争」モティーフを検討する作業として、レッシング、ゲーテ、クライスト、ヘッベルらの作品の分析を行ったうえで理論的構築を進めた。作品に描き出される様々な「抗争」に焦点を当て、それがいかなる仕方で18世紀の文学言説へと組み込まれ、また19世紀にいかなる変容を遂げ、さらに、いかにして20、21世紀の荒廃へと至ったか、文芸作品以外の様々なテクストとの参照関係の中から考察した。「文学」という、近代的には個人の営みと専ら考えられる現象が、「個人」以前のネットワークの中で生じるものであることを、を内外の研究者との交流によって進め、議論を進化させることができた。
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