前年度(2019年度)3月に開催予定だったが、新型コロナウイルス蔓延により延期したシンポジウム「ギリシア悲劇主題の18世紀のオペラ ―イピゲネイア主題のオペラを起点として」 を2021年3月20日にZoomによるオンラインで開催した。18世紀のオペラには、イピゲネイアを筆頭として、アンティゴネ、メデイア、オイディプスなど、多くのギリシア悲劇主題の作品が登場するが、本シンポジウムでは、イピゲネイア主題のオペラを起点として、イタリア(大崎さやの・東京藝術大学)、フランス(森佳子・早稲田大学)、ドイツ(大河内文恵・東京藝術大学)、ロシア(森本頼子・名古屋音楽大学)、イギリス(吉江秀和・杏林大学)の順で発表を行い、ヨーロッパの各地域において上演されたギリシア悲劇主題のオペラを、台本面、音楽面、上演面からそれぞれ検討し、時代的な特徴や上演場所の地域性との関連を浮き彫りにしつつ、18世紀ヨーロッパにおけるギリシア悲劇主題のオペラの全体像を俯瞰した。そしてオペラを通して、ギリシア悲劇という古典が、18世紀の人々にどのように受容され、その後のヨーロッパ芸術にどのような影響を与えたのかを考えてみた。発表後にコメンテーター(辻昌宏・明治大学、岩佐愛・武蔵大学)によるコメント、参加者との質疑応答、そして全体討論が行われた。開催時間は4時間を予定していたが、活発な討論もあり、最終的に4時間45分のシンポジウムとなった。シンポジウムのテーマは専門的なものであったが、最終的に100名超の参加者があり、盛会となった。なお質問や感想をネット上のフォームを用いても受け付け、ネット上の共有フォルダーを活用してシンポジウム後も参加者とのやりとりを行い、開催時間内に完結できなかった点を解決した。
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