研究課題/領域番号 |
16K02561
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
武村 知子 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (60323896)
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研究分担者 |
古澤 ゆう子 一橋大学, 名誉教授 (00173534)
三田 順 北里大学, 一般教育部, 講師 (20723670)
清水 朗 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (30235642)
山室 信高 東洋大学, 経済学部, 講師 (30755236)
三瓶 裕文 一橋大学, 名誉教授 (40127402)
藤野 寛 國學院大學, 文学部, 教授 (50295440)
尾方 一郎 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (80242080)
久保 哲司 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (90170026)
小岩 信治 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (90387522)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | テクスト / モラル / 倫理 / 人文学 / 情報 / メディア |
研究実績の概要 |
2016年度の諸研究活動の中で、本研究テーマの主軸となるものは、次の二点である: 1)E.Ortland氏講演会「複製の倫理――情報の自由と検閲の間で Die Ethik des Kopierens - im Konflikt zwischen Informationsfreiheit und Zensurbestrebungen」(2017.3.17) 2)一橋大学連携講座「いつも街中に「大学」がある――くにたち教養マッピング」(国立市公民館との連携企画、2017.1~3) 1)は、本研究テーマに照らして人文学者がその責務として考えるべき具体的な検討課題のひとつを掘り下げたものであり、現代におけるテクストの作成と流通にかかわるリテラシー及びモラルの問題の核心に真正面から取り組んだものであった。2)は、俯瞰的な視点から、人文学(とそのネットワーク)が社会に対して何を提供できるか、提供すべきかについて、研究代表者が属する大学が位置する国立市というひとつの文教都市を例に、市公民館および市民と協同でモデリングを試みてみたものであり、本研究テーマの見地からは、学術において求められるべきテクスト・リテラシー及びモラルと、市民生活における「学び」の営みにおいて求められるべきそれらとの間の微妙な齟齬を、人文学がどう埋め、両領域を滑らかに橋渡しできるか、という形で課題が鮮明に浮かび上がってきたといえる。人文学が学術として力を持つためには逆説的に学術の規範から逸脱せざるをえないという、古い逆説に立ち戻って考える必要が改めて認識された。 各研究分担者の個別研究の中では、マイナー言語による戦後文学の読解姿勢において戦後処理を問う三田順の業績をはじめ、個々の分担領域において有意な研究がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(2016年度)は、本研究課題において遂行されるべき諸問題の整理検討・明確化を主要な目的としていたので、おおよそ当初の予定通り進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度の活動において明確になった二つの方向性のうち、俯瞰的視点による人文学の責務の検討については、引き続き国立市公民館との連携企画をはじめいくつかのWSならびにHP作成などの実際的活動を主軸に継続する。国立市公民館と、研究代表者の所属する研究科とが、2017年3月に連携協定のための覚書を正式に取り交わしたため、連携企画はよりスムーズに行われることが期待される。 現代のIT情報社会におけるテクストの作成・流通におけるリテラシー及びモラルの問題に関しては引き続き研究努力を傾注する。情報処理などの分野の専門家の助力・助言を受ける必要が多くあると思われる。 他方、個々の具体的検討課題へのミクロな視点からのアプローチに関しては、基本的に、引き続きおのおのの研究分担者の活動に委ねる。
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次年度使用額が生じた理由 |
数名の研究分担者において、以下のような理由で未使用額が生じた。 1)体調等の関係で予定していた出張がとりやめになった、2)予定していた講演会が種々の都合で延期になった、3)予定していた出費が種々の都合で別予算から行われた、4)購入予定の書物の刊行が遅れた、等。
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次年度使用額の使用計画 |
1)とりやめになった出張は次年度において代替される予定、2)延期になった講演会は次年度に行われる予定、3)別予算から出費された企画にかわる新たな企画を付加する予定、4)遅れて刊行された書物等は次年度に購入される予定、等。
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