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2020 年度 実施状況報告書

リルケとオカルティズム

研究課題

研究課題/領域番号 16K02573
研究機関東京医科大学

研究代表者

城 眞一  東京医科大学, その他部局等, 名誉教授 (60424602)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワードドイツ語文学 / リルケ / ベーメ / プラハ / 間文化的状況
研究実績の概要

今年度は、延長された最終年度に当たり、リルケにおけるオカルティズムのもっとも本質的な課題すなわち口授の構造を明らかにし、それを思想史の中で位置づけることを目指した。それらの暫定的結論を、論文ないしは口頭発表の形で発表する予定であった。
しかし周知のごとく、疫病の流行により、研究活動が個人レベルにおいても、また広範な社会全般の状況下においても、大幅に制約されるに至り、ほとんど進展を見なかった。すなわち対社会的に成果として提示しうる実績は、ほとんどなかったといえる。わずかに、新研究プロジェクトの立ち上げに協力したこと、研究資料の公開をネット上で実験的に行うにとどまった。昨年度のこの欄にも記したが、研究の低迷と成果の不毛は、目を覆うばかりである。
研究課題は令和二年度においても、令和元年度と比較して大きな変更はなかった。ベーメにおける純粋なエクリチュールの綻びを突き、完璧な自動筆記なるものを疑い、再検証すること、これが第一の課題であった。それを参考にして、リルケの詩作における「降霊術」の二重性、分裂性、等をあぶり出し、この現象自体を近現代思想史のなかで再評価することが問題となった。
令和二年度の終盤において、ワイマール音大のSt.Hoehne教授ら編集の「知識人のプラハ」シリーズ十数巻によって、プラハの「間文化性」の問題を再認識する機会を得た。リルケらプラハ出身の詩人や作家がオカルティズムに傾倒してゆく背景として、この「間文化的状況」が強く作用していたのではないかと思われる。リルケは間文化的状況が言語の乱れを惹起し、詩芸術の不毛をもたらすことをほとんど呪ったが、それと同じ状況を逆手に取って、むしろそれを揺り籠として、純粋な言語の探求へと旅立つことができたのではないか。この間文化的状況の創造的転回という視点からプラハドイツ語文学を読み解く道筋が見えてきた。孤独な研究の中にも発見があった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

1.研究代表者の健康上の理由
2.疫病の流行による研究活動の制約

今後の研究の推進方策

再延長の年度ゆえ、昨年度と研究推進方策に変わりはない。リルケの詩作にかかわる最も本質的な課題、すなわち、リルケの言う「口授」(降霊術)の構造の解明が主眼である。
発表の機会が保証されていないので、ポータルサイトにおいて未発表の資料や原稿を公開することも視野に入れて、発信を図りたい。

次年度使用額が生じた理由

1.疫病の流行による研究活動の低迷(旅行の中止など)および研究代表者の健康上の問題が、次年度使用額発生の理由である。
2.使用計画としては、新刊書の書籍代金、耐用年数が過ぎたIT機器の一部入れ替え(今年度はこのプロジェクトの第6年目に当たる故)、旅費等。

なお。疫病の流行状況に左右される使途があるので、状況に応じて柔軟に対処する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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