研究課題/領域番号 |
16K02585
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平田 昌司 京都大学, 文学研究科, 教授 (50150321)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文学革命 / 胡適 / 章炳麟 / 言文一致 |
研究実績の概要 |
20世紀中国における書記言語と文学の急激な転換の背景を研究するに際して、2016年度においては在アメリカの中国人留学生、2017年度においては在日本の中国人留学生・亡命中国知識人にそれぞれ重点を置いた。2018年度は、以下の3点を扱った。 (1)章炳麟の学問と胡適の文学史研究の連続性:とくに章炳麟『国故論衡』の詩学が胡適の文学史に与えた影響を調査した。 (2)胡適と在アメリカ中国人留学生による詩詞創作の関係:文学革命の第一声ともされる胡適「文学改良芻議」は、胡適がニューヨークで読むことのできた中国語雑誌にもとづいてほぼ解明できること、およびそれが胡適の1920年代の国語教育論とも関連をもつことを実証できた。成果は2018年12月に国際シンポジウム「国語施策/言文一致運動を東アジアの視点から考える」、「五四@100:思想、文化、學術論壇」の機会を借りて口頭発表したほか、「文学改良芻議」の詳細な注釈として2019年度に発表予定である。 (3)1920年代に中国で成熟した中国文学・史学研究が、1937~1945年の対日戦争期にどのような表現形態をとったか、20世紀人による『世説新語』研究を具体的なケーススタディとして扱い、2018年12月に台湾の中央研究院で発表したほか、書籍の一部分担執筆のかたちで2019年度に発表予定である。 (4)五四運動期の文学芸術に対するアメリカ文化の影響:胡適の戯曲『終身大事』を具体的な対象として解明をすすめた。結果は2019年度に公表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年10月、勤務先に、日本の人文社会系で初の国際ジョイント・ディグリープログラムとして新設された大学院修士課程京都大学・ハイデルベルク大学国際連携文化越境専攻長の専攻長となり、2018年4月からは日本側第1期生が新入学、同10月からはドイツ側第1期生がドイツから到着した。そのため、関係教職員も未経験の業務対応に多くの時間を割かざるを得ず、専攻長としても研究のための時間を充分にとることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
国際連携専攻の運営業務は、2019年度が新専攻完成年度であるため力を抜くことができないが、第2年度目に入ることにより教職員ともに慣れてきており、前年度よりは専攻長の負担感が軽くなった。そのため、研究に割く時間を増やせるとみこんでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度においては、勤務先の業務対応が非常に忙しく、研究の進度が遅れた。資金を有効に利用するためには、補助期間の延長を申請して、より充実した内容の研究論文を発表するほうが適切であると判断した。
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