本研究は、20世紀初期中国における書記言語近代化の動因を、特に中国知識人の国際ネットワークという視点から明らかにすることを意図した。研究対象としては、(1)若い世代から胡適・任鴻雋、(2)やや年長世代から章炳麟・王国維を選んで、彼らの文学言語観に、どのような革新性が見られるかを検討した。 その結果、中国人留学生たちの間で、国境を越えた知的ネットワークが存在したこと、新世代は旧世代の学問の影響を非常に深く受けていることを明らかにした。特に、1917年に胡適が発表した「文学改良芻議」は、文学革命の起点と言われる。彼のこのエッセイが、章炳麟・王国維らの革新的な側面を継承していることを指摘した。
|