研究課題/領域番号 |
16K02590
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
大久保 明男 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (10341942)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 国際研究者交流 / 国際情報交換・中国、台湾 / 中国現代文学 / 植民地文学 / 「満洲国」 / 東北淪陥区 / 文芸政策 / メディア統制 |
研究実績の概要 |
本研究は、「満洲国」における文芸政策およびそのもとで設置されたメディア統制機関を研究対象とし、政府が制定・実施した、文化・芸術の諸分野に関連する様々な政策や制度、およびそれらを実行・運用する際に中心的な役割をはたしたメディア統制機関に関して、その実態や基礎的な事実について総体的に把握することに努め、さらに両者の関連性について実証的な研究手法を用いてあきらかにしようとするものです。全体構想としては、本テーマに関連する政策、方針、法律、組織、団体、諸活動などの基礎的な事実や実態、および相互の関連性について、先行研究や文献調査などにより体系的に整理・分析し、総合的に考察・究明しようと考えています。 平成28年度は日中両国の図書館や資料館、公文書館、研究機関などを訪ね、基礎資料の調査や収集作業を中心に進めました。また、これまでに収集してきた一次資料(特に入手しにくい当時の雑誌や単行本、新聞文芸欄に関する膨大な複写資料や電子データなど)を引き続き整理、調査しながら、「満洲国」時期の文学・芸術諸分野をめぐる外的環境を俯瞰しつつ、文芸政策とメディア統制との関連性を究明するのに有用と思われるデータをくみ取り、分析や考察をおこないました。以前よりおこなわれてきた相関する研究の蓄積から、「満洲国」の代表的な漢字紙に関する研究成果が2017年1月に中国で刊行されました(大久保明男著『偽満洲国主要漢語報紙文芸副刊目録』中国・北方文芸出版社)。今後はこれらの研究成果を援用しながら本研究の本格的展開を図りたいと考えています。さらに、本研究テーマにも関連する国際シンポジウムやワークショップなどで研究発表をおこない、他国の研究者と学術交流や国際的な研究計画について討議しました。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象となる新聞、雑誌、書籍、レコード、フィルムなど原始資料の数量は膨大にある一方、長期の国内外調査出張は授業のない夏休みや春休みにしかできないため、資料調査作業がやや遅れています。
|
今後の研究の推進方策 |
引きつづき基礎資料の調査や収集をおこなうとともに、資料の整理や分析考察の作業を進めていきます。資料の解析を進めると同時に、新聞、雑誌など当時の主要メディアやその関連機関に対する調査・整理をおこない、本研究課題に関わる論考の執筆に取り組んでいきたいと考えています。
|
次年度使用額が生じた理由 |
1.昨年度は勤務先の校務がとくに忙しく(学部入試担当など)、夏休みを利用した長期の海外資料調査は実現できませんでした。 2.次年度に本研究テーマと関連する中規模な国際シンポジウムを開催する計画があり、研究費の一部をこのために使う予定があります。
|
次年度使用額の使用計画 |
1.今年度はあいかわらず校務が忙しいが、早めに計画を立てて、夏休みを利用して長期の海外資料調査を実現させたいと計画しています。 2.今年度に本研究テーマと関連する中規模な国際シンポジウムを開催する準備を進めており、研究費の一部をこのために使う予定があります。
|