本研究は、「満洲国」における文芸政策およびそのもとで設置されたメディア統制機関を研究対象とし、政府が制定・実施した、文化・芸術の諸分野に関連する様々な政策や制度、およびそれらを実行・運用する際に中心的な役割をはたしたメディア統制機関に関して、その実態や基礎的な事実について総体的に把握することに努め、さらに両者の関連性について実証的な研究手法を用いてあきらかにしようとするものです。全体構想としては、本テーマに関連する政策、方針、法律、組織、団体、諸活動などの基礎的な事実や実態、および相互の関連性について、先行研究や文献調査などにより体系的に整理・分析し、総合的に考察・究明しようと考えています。 本研究は2018年度で終了する予定でしたが、関わる一次資料の調査収集に想定以上の時間がかかってしまったことなどにより一年間延長しました。2019年度は引きつづき資料の調査収集をおこなうとともに、文献資料の整理や分析考察の作業に取りかかりました。文献資料の解析を進めながら、すでに完成した新聞、雑誌の目録データーベースを補完・修正する作業も同時に進め、本研究課題に関わる論考の執筆準備に取りかかっているところです。また、近年、日本、中国、台湾、韓国などの研究者たちと取り組んでいる国際シンポジウムやセミナー、ワークショップなどの共同研究活動にも継続的に関わっており、相関する研究成果も各国(地域)で公刊されました。引き続き「台湾/満洲/朝鮮の植民主義と文化交渉」を枠組みに、「満洲国」の文芸政策とメディア統制機関に関する研究を進めているところです。
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