研究課題
当該年度は補助事業期間の最終年度となったが、ラフカディオ・ハーン(1850-1904)と夏目漱石(1867-1916)の文学と思想について、異文化接触や多文化共生研究の視点を導入して検討するという基本方針に基づきながら、共同研究の参加者各自が発展的研究を進めると同時に、補助事業期間中の研究成果の総合に取り組んだ。第一に、2016年度から継続のハーン・漱石研究から見た東アジアにおける越境と共生というテーマに関しては、研究代表者の坂元昌樹と研究分担者の西槇偉が中国の内蒙古大学で開催された国際学会に参加して研究発表と学術交流を行うなど、同テーマに関する研究の一層の深化を図った。第二に、2017年度から継続のハーン・漱石研究から見たヨーロッパにおける越境と共生というテーマに関しても、研究分担者の濱田明と福澤清が、各自の専門領域に関連して発展的な研究に取り組んだ。また同様に研究分担者の永尾悟と平野順也も、本研究課題に関係するそれぞれの英語圏の文学・文化についての個別研究を進めた。そして第三に、それら一連の共同研究と成果発信を基礎として、研究代表者と研究分担者による3年間の共同研究の成果を中心とする論集『夏目漱石の見た中国』を刊行し、研究成果の公開と発信に努めた。さらに第四に、所属機関の熊本大学に設立された文学部附属漱石・八雲教育研究センターの教育研究活動と連携しつつ、補助事業期間3年間の研究活動の報告と総括を兼ねた公開フォーラム「漱石・ハーン研究の新展開」を開催し、ハーンと漱石を中心とした共同研究成果の総合の試みを進めた。以上の通り、本研究課題の共同研究は、3年間の補助事業期間の全体を通して、漱石とハーンの研究を基礎とした異文化接触と多文化共生研究の基盤形成において、確かな成果を得ることが出来たと判断するものである。
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漱石の記憶 夏目漱石記念年記念誌
巻: - ページ: 105-107
巻: - ページ: 101-104
『光風霽月 第六届弘一大師研究国際学術会議論文集』杭州師範大学弘一大師・豊子愷研究中心編、上海三聯書店
巻: 6 ページ: 375-385