研究課題/領域番号 |
16K02611
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
渡辺 直紀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80409367)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 韓国 / 朝鮮 / 日本 / プロレタリア文学 / 林和 |
研究実績の概要 |
平成28(2016)年度は植民地朝鮮のプロレタリア文学論争と日本との関連を研究し、そのための基礎資料もあわせて作成した。そのうち、次年度に予定していた植民地朝鮮のプロレタリア文学の評論家・林和(イム・ファ)に関する研究も、その一部を同時に進めることが効果的であると判断し、平成28年度に実施した。また本研究に関するもので、活字になったものとしては、韓国のソミョン出版から刊行された『林和文学研究・5』(林和文学研究会)に収録された「イポリット・テーヌと植民地文学―朝鮮と台湾における受容比較」(255-278頁、韓国語)、高麗大学校GLOBAL日本研究院の学術雑誌『跨境/日本語文学研究vol.3』に収録された「「帝国」と「民族」の交差路で―林和研究からはじめて」((9-12頁、日本語)などがある。また、口頭発表では、東京大学で4月に開催された第4回世界文学・語圏横断ネットワーク研究集会における「植民地朝鮮の日本語文学―雑誌『新時代』所収の李光洙の文章を中心に」と題する発表や、国際日本文化研究センターで8月に開催された国際日本文化研究センター共同研究会「戦後日本文化再考」第9回における「『北の詩人』再読―林和と朝鮮文学」と題する発表などに結実した。当初、平成28年度の研究計画としていた内容と平成29年度のそれは、たがいに密接に関連し、同時進行で行うことが効果的なため次年度も同様に進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資料の購入について、その一部が電算化(無料アーカイブ化)される話があったので、購入を控えていたが、電算化がごく一部にとどまることがわかったので、予定していた資料購入をそのまま次年度に行う予定である。調査出張について、国内で行う予定だったものは、予定通り行えたが、海外で行う予定だった研究打ち合わせや資料調査は、業務の関係で行えなかった。そのうち予定の一部(米国の韓国文学研究者たちとの研究打ち合わせ)は、彼らがみずからの調査出張で東京や京都に訪問したことがあったため、そこに出向いて打ち合わせをすることができたが、他の大部分の調査は、次年度の調査出張の内容と充分調整のうえ、同時に行えるよう準備している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29(2017)年度は予定通り、林和の文学世界に関する研究を行い、そのための基礎資料もあわせて作成する予定である。ただし、平成28(2016)年度にすでに一部進行しているものもあるので、内容を吟味・調整して、次年度までに2年分の研究・調査を完了できるようにしたい。また3年目である平成30(2018)年度は、予定通り、植民地朝鮮のプロレタリア文化運動と映画事業が日本から受けた影響などについて調査・研究すべく準備中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(1)「植民地朝鮮雑誌資料」(アダン文庫未公開資料叢書)(20万円相当)、および「植民地朝鮮プロレタリア文学関連資料」(10万円相当)の購入を予定していたが、一部資料が電算化(データベース化)されるという話があったため見合わせて、次年度に執行することとした。 (2)調査出張(海外)を予定していたが、業務の都合で行うことができず、外国旅費(研究打ち合わせ・資料調査(韓国)、同(カナダ))の執行を見合わせたために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)資料の電算化がごく一部にとどまることがわかったため、予定通りの購入を次年度に行うこととした。よって、この部分の未使用額は、そのまま執行できるものと思われる。 (2)調査出張を次年度に延期し、次年度に予定している調査出張の日程などと調整して、適切に使用する予定である。
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