研究実績の概要 |
本研究は「クィア理論と日本文学―クィア・リーディングの可能性と実践」というタイトルのもと、1990年代に新たな分析理論として出発したクィア理論を、日本文学の上に照らしだし、新たな批評理論の可能性と実践を目指したものである。平成28年度、初年度は、その趣旨のもとにアメリカ、フランス、ドイツから日本文学・文化研究者を招き、3回のワークショップ、講演会を開催し、自身もフランス、カナダに赴いて関係学会などと連携して講演、打ち合わせを行った。平成29年度は、11月30日に関口涼子氏らを招き、「震災後文学とジェンダー」ワークショップを開催、またEAJS,AASなどの学会での発表を行い、同時に国際会議開催に向けての打ち合わせを行った。しかし、平成30年度は6月18日の大阪府北部震災に被災、研究代表者の諸事情により一年研究期間の延長を願い、受理された。 最終年次にあたる平成31年(令和1)7月10日には、姫野カオルコ氏を招聘した書評会、11月9日には熊本で開催された石牟礼道子シンポジウムに参加、多和田葉子氏ら、女性作家との意見交換をした。10月25日から27日まで台湾政治大学等で「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」に出席、12月2日にはパリ・イナルコの国際会議に参加・発表するとともに、本研究の総仕上げともいうべき国際ワークショップの打ち合わせを行った。それは、重要な要素としての1)ジェンダー配置の不等性2)災禍と女性配置3)クィア理論と情動理論の融合、という3つの柱を設定して令和2年3月に国際シンポジウム「クィア理論と日本文学研究理論ー情動理論を手掛かりに」として開催される予定であったが、世界を唐突に覆ったコロナ禍のために中止を余儀なくされた。このほかに基礎研究文献目録を作成した。今後、本研究で培った学識、また人的ネットワークを用いて、より高次な研究を実現したいと考えている。
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