本研究は、神話や文学(歌謡文学)の生成において、その担い手となるメディスンマン(Medicine Man、本草医、Herbal Man)の存在にクローズアップし、彼らの言説・知見から得られる新たな医療人文学としての文学生成理論の構築を目指すものである。 2023年度の実績は、主に次の3点である。(1)医学・薬学・生物学・生命科学系アプローチをまとめると共に、(2)フィールドワークや文献調査をふまえて、神話や文学(歌謡文学)の医療人文学的解釈を確立し、(3)その成果を論文および国際学会で発表したことである。 (1)は、研究協力者の中尾が、科研費研究員としてこれまでの知見を整理し、研究代表者の毛利とともに、(2)および(3)の成果をまとめた。具体的には、毛利は、文学と医療の密接な関係について論文にまとめ、また中尾の論を進める形で、神話における医療人文学的考察について、国際学会および国内研究会で発表を行った。中尾もまた、歌謡文学における医療人文学的考察について国際学会で発表を行った。 2023年度も引き続き、フィールドワークについては国内のみとなったが、国際学会での発表を続け、これまで蓄積された知見を元に、医療人文学という新たな文学研究の視点を、国内外に提示することができた。
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