研究実績の概要 |
本年度は、(I)「非従属化現象(insubordination; 日本語学においては「言いさし」として知られる)」と「従属現象(subordination)」の連続性、(II)「非従属化現象」のための、「連体(節)」・「準体(節)」と「連用(節)」の間の機能的相互関係の再検討、特に奥津(2005)の「連体即連用」現象の通言語的・類型論的観点からの検討、(III)日本語における「けど」「が」による中断節現象の談話分析・語用論的観点からの分析について研究論文や、招待講演、通常の学会口頭・ポスター発表を行った。 具体的には、(I)に関しては、言語類型論の観点から日本語の従属化と非従属化の連続性に関する最新の研究成果をHandbook of Japanese Contrastive Linguistics (Mouton, 2018)の"Subordination and insubordination in Japanese from a crosslinguistic perspective"という論文として発表した。また、連体節に関しては、日本語やアルメニア語、クメール語を対象として、国内の言語学会等において複数回の研究発表を行った。 (II)に関しては、国際ワークショップでであるWorkshop on Nominalization and Noun Modification, (San Francisco University, San Francisco, USA, March 17, 2018)において“Functional Utility of Noun Modification and Nominalization relative to Renyoo Syuusyoku(Adverbial modification): A comparative study.”という題目で、また「言語の類型論的特徴を捉える対照研究会第6回公開発表会」( 11月19日, 大阪府立大学I-siteなんば)においても「英語における連体と連用の関係-日本語(・韓国語)との対比を通じて-」という題目で招待講演を行った。 (III)に関しては、日本語における最も顕在的な中断節現象である「けど」「が」による中断節の語用論的機能に関して共同研究を行い、認知言語学会、社会言語科学会等の国内学会で研究発表を行った。
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