研究課題
アフリカにはバンツー系言語のように、多音節の声調言語が多く存在する。また日本語アクセント論で一型、二型などと呼ぶものに似たアクセント体系も多く存在する。本研究は報告者がこれまでアフリカで行ってきた調査で得られた成果を総合すると同時に、文献研究、また研究協力者との研究会などを通じて、アフリカ諸語の声調・アクセント体系の類型論特徴を明らかにすることを目的とした。コンゴのテンボ語の声調のパターン数は、高低の声調数2を底とし単語のモーラ数nに従って、2nという風に等比級数的に増えていく。(ただしそれ以上のモーラ数となると単語自体が少なくなり、5モーラ語では13パターン、6モーラ語では5パターンしかない)。タンザニアのロンボ語やナミビアのヘレロ語もこのタイプに近い。タンザニアのハヤ語では、声調のパターン数は東京方言と同じようにn+1という風に等差級数的に増えていく(nは語幹の音節数)。なお単独形では語末のHは次末音節に、そして次末音節のHはFとして実現される。その北に話されるウガンダのンコレ語は、体系としてはハヤ語と同じでありながら、単独での実現形が一部単純化されている。ガーナのアカン語、エチオピアのウォライタ語では声調のパターン数は単語の音節数に関係なく3パターンである。ウガンダのニョロ語では2パターン、そしてニョロ語の南に話されるトーロ語では1パターンである。アカン語、ウォライタ語、ニョロ語、トーロ語は日本語アクセント論でいうN型アクセントであるが、報告者の調査では現在までのところ、一型、二型、三型はあるが、四型、五型というパターンは見出していない。Leben (1973)によるとシエラレオネのメンデ語は五型であるというが、このLebenの分析はメンデ語の実情を反映していないという指摘がある。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Swahili Forum
巻: 26 ページ: 173-188
A History of African Linguistics
巻: 1 ページ: 233-250
10.1017/9781108283977.012
The Cambridge Handbook of African Linguistics
巻: 1 ページ: 128-136
10.1017/9781108283991.006