研究課題
本研究課題「統語構造の階層性および非均一的な言語現象に関する包括的研究」は本年度が3年目にあたる。研究の目標は,いわゆる節の周辺部の階層構造に加え,複雑述語の階層構造など,命題の決定に関わる階層構造をその考察の対象にし,原理的な説明を加えることである。本年度も,非均一的な言語現象をいくつか体系的にとりあげ,説明理論の構築を目指して研究を進めた。本年度は,特に,経験的な事実の発掘を中心に据えて,理論的考察をさらに進めていった。具体的には以下のように研究を進行させた。言語現象を的確に記述できる理論開発のための文献の調査をおこない,最終的な研究成果を出すための方向性に関する検討をおこなった。本年度も,日本語・英語・シンハラ語について理論的に重要になるいくつかの構文の比較対照をおこなった。本年度の海外の研究発表としては,南アフリカケープタウンにおいて開催された第20回国際言語学者会議およびエストニアのタリンで開催された第51回ヨーロッパ言語学会において日本語の例外的格標示構文についての発表をおこなった。さらに,イギリスのエジンバラ大学,ロンドン大学において,例外的格標示構文についてコロキアムでの発表を行い,現地の研究者と意見交換を行うことができた。また,本研究に関する資料収集をおこなうことができた。フランスのパリの日本語研究会においては,日本語のN-スル構文の研究発表をおこなった。この成果は『レキシコン研究の新たなアプローチ』に掲載された。その他,日本言語学会第157回大会,ワークショップにおいては,シンハラ語の名詞補文節についての発表を行い,日本英語学会第36回大会ワークショップにおいては,VN-スル構文の研究発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度は,海外の学会においていくつか研究発表をおこなうことができたこと(第20回国際言語学者会議,第51回ヨーロッパ言語学会における研究発表),および,ここ数年取り組んでいた研究の成果がいくつかの論文が学術雑誌に掲載された(Journal of Japanese Linguistics など)。本年度は,おおむね着実な研究の進展と成果が得られたと考えている。
最終年度に入るため,総括を行う。研究成果の研究発表,論文執筆などを積極的に行う。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
レキシコン研究の新たなアプローチ
巻: 1 ページ: 55-80
Handbook of Japanese Linguistics,
巻: 1 ページ: 300-331
Journal of Japanese Linguistics
巻: 34 ページ: 65-101
https://doi.org/10.1515/jjl-2018-0005
Topics in Theoretical Asian Linguistics
巻: LA250 ページ: 45-71
巻: 2018 ページ: 73-96