研究実績の概要 |
本研究課題「統語構造の階層性および非均一的な言語現象に関する包括的研究」は本年度が最終年度にあたる。研究の目標は,いわゆる節の周辺部の階層構造に加え,複雑述語の階層構造など,命題の決定に関わる階層構造をその考察の対象にし,原理的な説明を加えることである。本年度も,非均一的な言語現象をいくつか体系的にとりあげ,説明理論の構築を目指して最終目標に向けて研究を進め,日本語・英語・シンハラ語について理論的に重要になるいくつかの構文の比較対照をおこなった。本年度の海外の研究発表としては,以下のものが含まれる。アメリカ合衆国、バッファローのUniversity at Buffalo, The State University of New Yorkで開催された国際学会Role and Reference Grammar 2019の国際会議において、日本語の自他交替について研究発表を行った。また、チェコスロバキア・ブルノのMasaryk Universityにおいて開催された国際学会The twelfth conference on Syntax, Phonology and Language Analysisでは、日本語の例外的格標示構文の研究発表を行った。さらに、中国、北京、中華人民大学で開催された「2019 年日本語の誤用及び第二言語習得研究国際シンポジウム」で動詞の反使役化・脱使役化の講演を行った。出版された研究成果としては、シンハラ語のとりたて表現、名詞修飾表現に関する論文、日本語の軽動詞構文、動詞の文法化、複雑述語の脱語彙化の論文がある。さらに、否定極性表現の論集の編集(共編)をし、その中には、否定極性表現と統語構造の論文が含まれている。
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