研究課題/領域番号 |
16K02630
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
品川 大輔 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (80513712)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バントゥ諸語 / チャガ諸語 / 形態論 / 形態統語論 / 言語類型論 / マイクロ・バリエーション |
研究実績の概要 |
本研究課題は「言語記述/ドキュメンテーション」と,その成果に基づく「マイクロ・バリエーション研究」を両輪としている.前者については中央キリマンジャロ諸語に含まれるウル語の集中的な記述を,後者については具体的なパラメータの検討を,それぞれ今年度の実施計画の中心に位置付けた. 前者の研究実績としては,キリマンジャロ州モシ・ルーラル県におけるウル語の現地調査(7月および10月)に基づく142項目のパラメータに対するデータセットの作成が挙げられる.また,すでに基礎的な調査を終えているロンボ語についても,同様のデータセットを作成した. 後者については,国内外の研究会において,共通したパラメータに即した具体的な言語データを突き合わせて,そこから得られる一般化の見通しや,より適切なパラメータ設計に関する議論を行った.参加した研究会は次のとおりである:(1)ダルエスサラーム大学におけるバントゥ諸語マイクロバリエーションに関するワークショップ(7/20-21),(2) 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究会共同利用・共同研究課題「バントゥ諸語のマイクロ・バリエーションの類型的研究(フェーズ1)」 (4/17,12/17),(3)「国際バントゥー諸語マイクロ・バリエーションワークショップ」(3/3-5).このうち,(2)の二回の研究会ではともに研究発表を行い,これまでの研究の進捗を含めた報告を行った.また,(3)の国際ワークショップにおいては,ロンドン大学SOASの研究チームに加え,ベルリン大学,ヘント大学,ダルエスサラーム大学などから来訪した研究者と,具体的なデータに基づく議論を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
言語調査の面においては,「ウル語について集中的な調査を行い,その全体的な文法記述を行う」という当初の研究計画に示した目標を,2度の現地調査によってほぼ計画通り実行した.また,同様に研究計画に示した「分析の領域で検討するパラメータについて,ウル語以外の言語にもあたり,実証的にその妥当性を検討する」という点については,ロンボ語に関して,共有されている142項目からなるパラメータに従ったデータセットを作成し,それに基づいて7月のダルエスサラーム・ワークショップ,また3月に東京で開催した国際ワークショップにおいて海外の共同研究者と議論を重ね,データ分析に関して共同作業を行った.このことは当初計画にはなかったことであり,かつそこで得られた成果は,本研究課題にとどまらず,本邦におけるバントゥ諸語研究全体に波及効果を及ぼすものであったことから,この点は当初計画を超える成果として挙げることができよう.声調に関するパラメータの検討については,明確な業績としては提示しえていないが,共同研究者と検討を行っているところである.以上の点を総合的に鑑みるに,全体として研究の進捗は概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
計画第二年度にあたる本年度は,当初計画にやむなく修正を加える点がある.それは,所属研究機関の変更に伴い,当初1年間のロンドン大学SOASへの研究渡航を計画していたものが,半年の滞在に短縮せざるをえなくなった点である.またそれに伴い,滞在期間中のアフリカでの現地調査は基幹的に相当制限されたものにならざるをえない.したがって,ロンドンでの研究滞在期間においては,SOASに拠点を置くバントゥ諸語研究者らとの共同研究活動や,ここまでの成果の論文化を集中して進める予定である.
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