研究課題
本プロジェクトは、文法理論の精度を評価するためのデータセットの作成を目標とするものである。文法性の判断は個人差が大きいため、従来は、このようなデータセットの作成は現実味が乏しいと考えられてきた。これに対して本プロジェクトでは、次の3点に着目することによって、頑健なデータをよりわけ、より広い範囲の研究者にその成果を供することを目指している。:(i) 予測の成否を判断する、解釈のポイントが明示されていること、(ii) 指定された解釈が不可能と判断されるべき例も含まれていること、(iii) 解釈容認の相関関係を含むデータであること。本プロジェクトの活動には、大きく分けて、データセットの体系的な構築についての理論的基盤を構築する「基盤構築」のタスクと、EPSAシステムの活用により、実際のデータセットを作り、それぞれのデータセットが評価基準として用いられることの妥当性を評価する「調査」のタスクとがある。ただし、平成29年度に行なった実験の結果を分析した結果、容認性判断課題の遂行方法が複数あるのではないかという可能性が浮上した。これまでは、容認性判断課題の遂行方法は1種類であるという想定のもとで実験デザインを組んでいたため、実験の方法を根本的に見直す必要が出てきたことになる。そのため、平成30年度は、理論的基盤の組み換えを行ない、その結果、容認性判断課題に対して2種類の遂行方法があると考えたほうが理論的にも望ましいということが明らかになった。また、「基盤構築」のタスクを追究する中で、レキシコン(脳内辞書)の記述を具体的に充実させなければならないということが明らかとなり、その枠組みが確立した。
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文学研究
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