研究課題/領域番号 |
16K02633
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
萩原 孝恵 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (90749053)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | タイ人日本語学習者 / 笑い / 舌打ち / フィラー / 生起環境 / パラ言語行動 / 認知行動 / OPIデータ |
研究実績の概要 |
本研究は、発話に伴う〈笑い〉や〈舌打ち〉を一連の発話行為と捉え、その生起環境の分析を通して、タイ人話者の情意的・認知的行動を明らかにすることを目的とする。 2年目にあたる平成29年度は、タイ人日本語学習者に「頻繁に、繰り返し現れる」非言語行動である〈笑い〉や〈舌打ち〉を、タイ語文化における慣習的なものと仮定し、日本語文化にはないある種のパラ言語行動の表出とみて分析・考察を進めた。 初年度との違いは、研究の視点を変更したことである。これまで、研究の視点は〈笑い〉もしくは〈舌打ち〉の出現に焦点を当て、その前後の生起環境を分析してきた。しかし、今年度は、研究の視点を〈笑い〉もしくは〈舌打ち〉の直前・直後に出現するフィラーに焦点を当て、分析・考察した。 この研究成果は、口頭発表と原著論文という形で発表した。まず、口頭発表については、国外で2回、国内で1回発表した。国外での発表は、台湾の淡江大学で開催されたOPI国際シンポジウムと、タイの国際交流基金バンコク文化センターで開催されたタイ国日本語教育研究会で行った。国内での発表は、日本語OPI研究会からの発表報告の依頼により、台湾で開催されたOPI国際シンポジウムでの発表内容を当該研究会で報告した。また、国内外での発表に加え、原著論文も発表した。 本研究は、最終年度に向け、研究計画書に記載したデータを収集するために、タイの大学で日本語を学ぶタイ人大学生を対象に調査を実施した。調査では、記述式アンケートと、当該アンケートを基にしたインタビューを行った。収集したデータについては、次年度に入力・文字化・編集等の作業を行い、今後活用できる形にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき進めることができたため、上記評価とした。平成29年度の進捗状況は、以下の通りである。 1. 初年度に実施したタスク型会話(タイ語による会話と日本語による会話)の映像データのうち、今年度に持ち越されたタイ語による会話部分について、文字化作業を終了した。 2. タスク型会話データのタイ語による会話について、1の文字化作業と併せて翻訳作業を行い、将来的活用を視野に入れたデータ化を進めた。 3. 現地研究者の協力により、自然会話に出現するタイ人特有の舌打ちデータの録画に成功した。 4. 研究成果として、(1)現地研究協力者との共同発表(台湾およびタイ)、(2)関連する研究会での研究内容の報告、(3)平成28年度にBali ICJLE2016で発表した内容を発展させた原著論文の発表、が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、初年度に収録した映像データについて、字幕入力および編集作業等を行い、将来に向けて活用できる形にする。また、今年度、現地で新たに収集したデータの入力作業等を行い、調査・分析を進めていく。そして、これまで収集したデータを基に、ヨーロッパやASEAN地域等の学会で発表し、本研究を通して得られた成果を論文として発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
入力作業、文字化作業、編集作業等、データ整備の費用に充てる。
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