研究課題/領域番号 |
16K02636
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
武藤 彩加 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (00412809)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 味を表す表現 / 普遍性 / 相対性 / 五感 / 生理学的普遍 / 生理的動機づけ / 環境的動機づけ / 認知的動機づけ |
研究実績の概要 |
2017年度はまず、中国で行った調査の内容を分析し、2015年度に日本語教育学会研究集会で口頭発表した内容をさらに発展させ、中国語の味を表す場面における「話者に意識されない男女差」という観点から単著論文にまとめた。この論文では、無意識のいわば潜在的な男女差があると仮定し、その実態について考察したが、実際の言語使用場面に現れる男女差をとらえるため、食品の味を表現する場面に焦点を絞り、中国語母語話者を対象として調査を行った結果に基づき分析を行った。また味を表す場面における「事態把握」という観点からも、これまで調査を行ってきた複数の言語間で分析を行い、エジプトの国際学会で口頭発表を行ったのち単著論文にまとめた。この論文では、池上(1981)の「スル」と「ナル」の議論において、事態把握の仕方に共通の基盤が存在するとされる日本語と韓国語、および中国語といった非西欧の言語と、客観的把握の言語とされる西欧の英語、そしてスウェーデン語を対象とし、それぞれの言語の特徴を探った。さらに、味を表す表現における動機づけについて、生理的動機づけと認知的動機づけ、および環境的動機づけという3つの観点からその動機づけを考察し、日本認知言語学会で発表をしたのち、単著論文にまとめた。この論文では、4つの言語を対象とした研究調査で得たデータをもとに、複数の言語間にどのような普遍的傾向があるのか、あるいはどのような相対性がありそれが非言語的な要素とどのように関連するのか、という点について検証した。最後に、これまで行ってきた味の表現の分析の中でオノマトペに注目しあらためて考察したものを、日本語用論学会メタファー研究会のシンポジウムにて発表した(招待講演)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・タイ語については、コンケン大学で行った調査結果をもとにデータをまとめ、その成果を発表すべく現在、国際学会へ応募をした(査読中)。 ・英語については、広告テキストのデータを収集したが、分析には至っておらず、今後進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
・トルコ語については、調査先の大学との交渉を進めていたが、現地の治安状況から、一度、調査を断念したという経緯がある。今後も状況をみつつ、可能な時期に研究調査を実施したいと考えている。 ・インドネシア語、フランス語、エストニア語についても、残りの期間(3年間)で研究調査を実施すべく準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
既述の通り、研究調査先の国に変更が生じたため、未使用額が生じたが、今後の研究調査によりすべて使用する見込みである。
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