研究課題/領域番号 |
16K02636
|
研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
武藤 彩加 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (00412809)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 味を表す表現 / 普遍性 / 相対性 / 五感 / 生理学的普遍 / 生理的動機づけ / 環境的動機づけ / 認知的動機づけ |
研究実績の概要 |
2018年度は、これまで渡航が危険であるという理由から延期していたトルコ語の味の表現に関する調査を実施した。具体的には、トルコ語母語話者60名を対象とし、3回に分けて行われた。第1回目(11月9日)に28名、第2回目(11月16日)に18名、第3回目(3月22日)に14名のトルコ語母語話者からのそれぞれ回答を得た。調査実施場所はToros Universityで、Research Institute of Alevism-Bektashism所属の准教授、Hiroki WAKAMATSU氏に業務委託するという形で実施した。 また昨年度、調査したタイ語の味を表す表現についてその結果を国際学会で発表し印刷物にまとめた。結論として、タイ語においても日本語の味表現と同様、40のカテゴリのほとんどすべてに相当する味の表現が母語話者により回答された。ただしの3種については今回の調査では回答がみられなかった。また今回の調査では1,240種類のタイ語の味表現が回答され、タイ語にも多数のおいしさとまずさを表す表現が存在することが示された。その中身をみてみると、延べ語数では硬軟と甘味が最も多く回答され、異なり語数では硬軟と素材特性の表現が多く使用された。このうち硬軟の表現は、おいしさにもまずさにも多く使用された。また味ことば分類表のカテゴリ別でみると、共感覚表現がもっとも多く回答された。この共感覚表現の中には一方向性仮説に沿わない例も一定数認められ、特に「嗅覚→味覚」表現である芳香の表現で味を表すケースが多くみられた。このタイ語の結果に加え、さらに、タイ語を含めた5つの言語を、アジア(タイ語、韓国語、中国語)および非アジア(英語、スウェーデン語)という観点から、各言語の味覚語彙における規則性とその体系に関する検証、および味覚語彙の種類や使用回数などに関する検証を行い、複数の言語観に現れる共通性について考察し書籍にまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイ語の調査結果、およびアジアの言語、および非アジアの言語という観点から、これまでの調査結果をまとめることができたが、東と西の中間に位置するトルコ語については、母語話者60名分からデータを得るのに時間を費やし、分析にまでは至っていない。今後は速やかに得たデータを分析し、発表、論文化する。
|
今後の研究の推進方策 |
トルコ語のデータの分析を進めると同時に、可能であればインドネシア語またはフランス語の調査をすべく準備を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
トルコ語の調査について、当初、研究代表者が渡航し実施する計画を立てていたが、治安上の理由などから、業務委託という形で実施したため、未使用額が生じた。
|