研究課題
本研究は、構文化の観点から、日本語と英語の諸方言に見られる語用標識(pragmatic marker)の文末詞化について類型論的考察を行うことを目的とする。具体的には、(1)英語諸方言について、語用標識の文末用法に関する量的・質的調査を実施し、方言的差異を明らかにする。(2)日本語諸方言についても同様の調査を実施する。その上で、(3)二言語の方言に見られるfinal-tag constructionの拡張性について言語横断的な比較を試みる。(1)に関して、本年度は、final-tag constructionの定着度が異なるアメリカ英語とアイルランド英語の話者による文末接続詞の解釈の違い(final-particle/final-hanging interpretation)の質的調査の結果をまとめ、国際雑誌に掲載した。また、東アジアの諸言語や英語の文末表現の順序性の観点から、広義の「文法」の二層性を唱える言語理論への批判的検討を行い、英語論文として出版した。さらに、日本語などと同様、英語の文末に現れる語用標識の連鎖にも類似した順序性が見られることを示した一昨年の口頭発表をまとめ、国際雑誌に投稿した(受理済み)。(2)については、日本語では語用標識の文末詞化に際だった方言的差異が認められなかった為、言語類型的に類似している日本語と韓国語のfinal-appended structureの対照研究を行い、その成果を国際学会で発表する予定であった。昨年コロナの影響で学会が延期された為、今年度は発表に向けて更なる準備を進めていたが、状況が改善せず学会が行われなかった。今後何らかの形で成果発表を行う予定である。(3)に関わるfinal-tag constructionの定着化は、少なくとも日本語と韓国語において、英語の方言間に見られるような差異が観察されることが分かってきた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
World Englishes
巻: - ページ: -
10.1111/weng.12521
In Alexander Haselow & Gunther Kaltenbock (eds.) Grammar and Cognition: Dualistic Models of Language Structure
巻: - ページ: 159~190
10.1075/hcp.70.05izu