研究実績の概要 |
イラン国立博物館および、京都大学総合博物館所蔵の楔形文字資料を研究調査し、言語資料の研究、提出・公刊を行った。 2019年夏のテヘラン調査で、アンシャン出土文書のうち、エクササイズタブレットとよばれる当時の学校で用いられた粘土板(語彙リストや数表)は、同じくエラム王国の重要都市であるスサ出土のものと極めて近い書体・書式で書かれたものを確認した。 これらについては、博物館と協議の上、引き続き調査を進め、該当粘土板について、作成地を同定するために、非破壊の検査を行うこととになった。イランでの調査にかんしては、テヘランにおいて、Mori, W. Three Sumerian Texts of the National Museum of Iran: an Ur-Namma Inscription, an Administrative Fragment and a Bulla (in press). Ancient Iran: New Perspectives from Archaeology and Cuneiform Studies. National Museum of Iran. (in printing) が出版されるほか、前三千年紀、二千年紀のエラム語、シュメール語の資料の公刊準備をすすめ、約百点のアンシャン資料については、研究分担者の国士舘大学/京都大学の前川和也氏ほか数人の研究者と共同で、2019年9月にイラン国立博物館に手写コピー、翻字のデータを提出した。 今年度末には、京都大学総合博物館が所蔵する50枚あまりのシュメール語、およびアッカド語の楔形文字粘土板資料について、それぞれの写真に、円筒印章の印影を含めた手写コピー、翻字・翻訳を付して出版の予定である。
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