研究課題/領域番号 |
16K02650
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
野澤 健 立命館大学, 経済学部, 教授 (30198593)
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研究分担者 |
韓 喜善 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 助教 (80756156)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ英語 / 母音 / 日本語話者 / 知覚 / 生成 / 個人差 / 韓国語話者 |
研究実績の概要 |
日本語話者については、同定実験、弁別実験、知覚同化実験、生成実験のデータがすべて出そろい、その関連を詳細に調べている。生成実験は、単語リストを読み上げる方法で録音したものと、英語母語話者の発話につけて復唱する形で発話したものとを録音した。読み上げる方法での発話は個々の日本語話者が考える英語の母音のイメージに基づいているものと考えられる。また、復唱する形式の発話は実際にどのように知覚されたかを示していると考えられる。単語を読み上げる方法では多くの日本語話者が、/i/-/I/を母音長で区別しようとしているが、復唱する場合は/I/を/i/よりも低く、後ろ寄りに発話する日本語話者がほとんどで、この2つの母音の質的な違いが知覚されていることを示している。つまり、母音の質的な違いを感じ取ることはできるが、母音の区別には質的な違いではなく、量的な違いである母音長を手掛かりにしていることがわかる。また、/ae/は、単語を読み上げる場合は「ア」に近い母音として発せられていることが多いが、復唱する場合は、前寄りの母音として発せられている。このことは日本語話者の持つイメージと実際の発音との食い違いを示しているといえる。全体的には、このような傾向が見られるものの、中には最初から、/i/-/I/を質的に区別して発音する日本語話者や/ae/を前よりに発音する日本語話者もいる。また、その一方で、復唱する際にも/i/-/I/の質的な違いを聞き取れていないと思われる日本語話者や依然として/ae/を「ア」のように発音する日本語話者も見られ、音声的な差異に対する敏感さにかなりの個人差が見られる。 韓国語話者については、分析途中であるが、日本語話者同様/i/-/I/を母音長で区別しようとする傾向が見らえるほか、strut母音を韓国語の/eo/と結び付ける傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語話者も韓国語話者もすべてデータ収集は終了している。日本語話者については知覚実験、生成実験とも分析は終了しており、実験間のデータのすり合わせを行う段階である。韓国語話者については、知覚実験の分析は終了しており、生成実験の分析を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
日本語話者の結果については、5月のASAの大会で発表することが決まっている。日本語話者と韓国語話者の結果を比較対象した結果は今年秋以降の学会で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の成果を発表する学会を平成29年度開催の学会から平成30年度開催の学会に変更したため、参加費用を残した。
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