本課題は,北アメリカ先住民諸語のセイリッシュ語族スライアモン語を対象とし,その焦点構文について,現地調査を通して得た資料をもとに,記述することを目的とした。中でも特に,いまだ解明されていない次の4点を重要な問題として設定し,それぞれの解明に向けて調査研究をおこなった:(1)焦点構文の冒頭に出るコピュラ的な語の性質,(2)焦点が当てられた名詞項の排他性,(3)焦点構文のプロソディー,(4)談話における焦点構文の機能。特に(2)の排他性の問題について,2種類ある焦点構文のいずれもが排他性を有さないことが分かったことは大きな成果だったと考えられる。これは同語族の他の2言語で指摘されたことと重なる。
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