研究課題/領域番号 |
16K02668
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
カン ミンギョン 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (30510416)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 使役構文 / 結果構文 / コーパス |
研究実績の概要 |
本研究の目的はドイツ語の使役構文と結果構文の研究成果を関連づけてまとめることにより、ドイツ語における結果表現の全体像を記述することである。使役構文については様々な研究において実例に基づく分析がなされているが、結果構文についてはその構文的性質上、コーパスデータの収集が容易ではなく、実例に基づく分析が十分に行われていないのが現状である。しかし結果構文の研究において最も基本的かつ重要な問題の一つは、どのような行為(動詞)+どのような対象(名詞)+どのような結果状態(形容詞または前置詞句)の組み合わせが結果構文を形成するかという点であり、言語使用における結果構文の使用を分析することの意義は大きい。そこで初年度の28年度では、先行研究を概観・検討するとともに、コーパスデータの収集方法を検討した。まず、DWDS-Wortprofil(タグ情報および出現頻度に基づき、共起語(句)を自動抽出するコロケーション分析ツール)の活用可能性の検討するため、自動抽出のコロケーション情報がどれほど正確で信頼できるものであるかを、手作業による調査等との比較も含めて検証した。その結果、動詞を検索語とした場合の主語と目的語として自動抽出される名詞については一定の精度が確かめられたが、一部タグ付けの誤りやDeReKoを用いた半手作業の調査結果との相違が見られた。これらについては研究会にて2回にわたって中間報告を行い、引き続き分析を進めている。また、DeReKoを用いてdass文のデータから語結合パターンを抽出して結果構文のデータを収集する方法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
28年度の研究計画は、先行研究およびコーパスデータ収集方法の検討と、結果構文の試行的データベースの作成の2点であった。しかし上述の通り、結果構文のデータ収集方法の検討に予想以上の時間がかかってしまい、また適任の研究補助者を見つけることもできず、データ収集・整理作業に本格的に取り掛かることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の予定として主に次の2つを考えている。まず一つ目は、諸先行研究を踏まえ、使役構文と結果構文の接点を整理することである。その際、両構文に関わるものとして状態変化動詞という動詞群がある。すなわち、使役構文には状態変化動詞による「語彙的使役」と使役の助動詞または機能動詞と本動詞からなる「分析的使役」がある。また、結果構文には状態変化動詞による「本来的・弱い結果構文」と行為動詞など結果を含意しない動詞と結果述語からなる「派生的・強い結果構文」がある。結果構文において行為とある対象の結果状態の間に成立する使役の意味をどのように捉えるかもポイントの一つである。次に二つ目は、結果構文(とりわけ派生的結果構文)のデータベースの作成である。DWDS-Wortprofilを活用した、行為動詞と共起する結果の形容詞(述語的用法)・前置詞句の抽出に加え、DeReKoを用いてdass文を収集し、「名詞+結果の形容詞(述語的用法)・前置詞句+行為動詞」の結合パターンを抽出する。なお、成果は論文にまとめて発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究補助者を見つけることができず、人件費・謝金分が執行できなかった。また、研究の遅れにより、成果発表のための研究会への参加が少なめになった。
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次年度使用額の使用計画 |
適任者を見つけることができればデータ収集・整理のための研究補助を雇用する。または、データ処理に詳しい研究者訪問もしくは研究会参加のための旅費に使用する。
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