平成30年度も、タンザニア連合共和国ザンジバル島におけるスワヒリ語諸変種の記述調査に従事した。調査協力者はザンジバル島北部県北部A郡に位置するチャアニ村在住であるが、出身はトゥンバトゥ島ゴマニ地区であり、スワヒリ語でKitumbatu-omaniと呼ばれる変種を話す。また、研究査協力者の宮﨑久美子氏はザンジバル島南部県のジャンビアニ村でKijambiani(ジャンビアニ変種)、およびパジェ村でKipaje(パジェ変種)の記述調査を展開した。 研究代表者・協力者ともに、前年度までに収集したデータの不足分の収集と、すでに収集したデータにおける疑問点を解明することを目指した。 これらのデータを元に2つの国際学会で研究発表を行った。1つは第7回国際バントゥ諸語学会(南アフリカ共和国ケープタウンにて開催;2018年7月10日)において行った"Dialectal Variation in Swahili: on the Lexicon and Grammar -"であり、もう1つは第9回世界アフリカ諸語学会(モロッコ王国ラバトにて開催;2018年8月26日)において行った"Towards a new approach to 'Viswahili' in Zanzibar"である。いずれの発表においても、参加者から多くの有益な質問とコメントが寄せられ、本研究に対する関心の高さがうかがえた。 また、研究代表者・協力者ともにメンバーとなっている東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所のプロジェクト「スワヒリ語諸変種にみられる多様性とダイナミズムへのアプローチ」の研究会においても、「ザンジバルにおけるスワヒリ語諸変種の関係を探る新たな試み」と題した発表を行い(東京外大AA研;2018年10月13日)、プロジェクトメンバーから本研究の継続が必須であるとのコメントが得られた。
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