研究課題/領域番号 |
16K02673
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原 真由子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (20389563)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会言語学 / バリ語 / インドネシア語 |
研究実績の概要 |
本研究は、インドネシア共和国バリ州におけるバリ語産地方言社会の特徴をふまえた組織的な会話コーパスを構築した上で、言語外の要素と言語構造、言語使用の相互作用を自然会話に基づき考察し、またバリ語山地方言に影響を与えるバリ語標準方言であるバリ語平地方言と国語インドネシア語の混在の傾向と分布を考察することを目的としている。そして、会話や談話に現れる語彙を収集済みの山地方言語彙に追加し、山地方言に特徴的な文化語彙を含む、また言語外の用途と言語の関係およびコード混在や借用などの社会言語学的変化に関する情報を盛り込んだ、山地方言語彙データベースを編纂することを目指している。 2021年度は、前年度に続き、バリ語山地方言地域であるバリ州ブレレン県プダワ村でこれまで収集した、語彙および会話データを整理し、記述をするという作業を進めた。また、それらと関連する村の社会構造、儀礼や行事、慣習といった言語外の事象について、画像・映像を含め、調査中に得られたデータを整理し、その内容を文化語彙の記述に反映させた。それによって、本研究の中心課題である、バリ語山地方言社会の文化的特徴と言語の関係の探求に必要な土台をさらに整備することにつながったと言える。ただし、2021年度は、2020年と同様に、コロナ禍により現地調査を実施できなかったため、それらの記述の内容の確認を現地で行うことができていない。そのため、前年度に引き続き研究期間をさらに1年延長した。状況が許せば、2022年度に現地調査で行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、前年度と同様に、コロナ禍により、現地調査を実施できなかったため、バリ語山地方言会話の書き起こしや、これまでのバリ語山地方言語彙記述の現地での確認や新たなデータの収集ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、海外渡航が可能となれば、前年度実施できなかった現地調査を、期間と回数を増やして実施することにより、遅れている状況を改善したい。 まず、バリ語山地方言の会話の収集および書き起こしを行い、分析を進めたい。そして、バリ語山地方言語彙の記述について現地で確認し、新たな語彙の収集も行いたい。新たな語彙については、以前初期的な調査を行い収集した、山地方言地域の文化社会と密接な植物と植物利用についての語彙をもとに、さらにそれを拡張して調べることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、2021年度はコロナ禍のために、予定していた海外における現地調査が実施できなかったため、研究計画の変更をせざるを得ず、2020年度に引き続き補助事業期間を1年間延長したためである。 2022年度は、状況が許せば海外での現地調査を実施し、主に旅費に研究費を使用する計画である。
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