研究課題/領域番号 |
16K02674
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 彰 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (90312438)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 災害報道 / 談話分析 / メディア |
研究実績の概要 |
平成28年度の主たる活動としては、11月12日に金沢大学で開催された日本英語学会第34回大会におけるシンポジウム「現代メディアの談話分析:災害をどう伝えるか」の企画・取りまとめ並びに司会・講師が挙げられる。シンポジウムの冒頭でその概要を述べるとともに、「災害報道の社会言語学的分析:英米メディアが見た東日本大震災」という公演において、英米メディアによる東日本大震災報道を国内のそれと比較し、(1)それぞれのメディアが構成する現実には違いがあること、具体的には英米メディア報道では(1a)原発事故対応従事者はヒーローである(heroが頻出する)にもかかわらずその英雄的行為に値する扱いを受けていない(語りにおいて否定形が使用される)こと、(1b)事故対応は戦争に近く(戦争メタファーが使用される)、従事者の肉声、危険情報や従事者の肉親の悲観論を社会に広く伝えることに意味があるとしている一方、国内メディア報道では(1c)彼らは必ずしもヒーローとは言えない(「英雄」は(主に外国人からの)直接引用内、またはそれへの否定的態度を表明する際に使用される)こと、(1d)事故対応は戦争に近いとは言えず、より抑制的に伝えることに意味があるとしていること、さらには、(2)それぞれの社会の背後にある態度・規範、価値観の違い、具体的には、(2a)コモンプレイスの反映及び再生産、(2b)報道のあるべき姿などの違い、が明らかになった。 なお、今回のシンポジウムは公開特別シンポジウムとして当該学会員のみならず広く一般にも公開されており、本研究の目指す社会貢献の一環としての意味がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定期的に連携研究者や研究協力者と打ち合わせを行っていること、28年度に招待シンポジウムを開催したことなどから、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
29年度に欧州(英国)での国際学会において本研究課題に関するパネルセッションを開催することが決まっており、また30年度にオセアニア(ニュージーランド)での国際学会で同様のパネルセッションを開催することを計画中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
連携研究者の学会および研究会参加に伴う旅費に関し、当該研究者が他の財源を用い、本財源(科研費)から使用する必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
連携研究者より、本年度は本財源(本科研費)を用いる必要があるとの連絡があり、それに使用する予定である。
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