語源辞典は言語の歴史的研究にとってきわめて重要であるにもかかわらず、中国語方言学の領域ではその編纂が試みられたことがなかった。本研究は研究上のこの空白部分を、びん東区方言群の身体名称語を例として埋めようとする試みである。4年間の研究期間中に、びん東区方言における計27語の身体名称語(頭;口;唇;舌;歯;ひげ;首;指;親指;小指;爪;腹;へそ;唾液;鼻;尻;肛門;胎盤;睾丸;陰嚢;女性器;目;目玉;涙;目やに;膝)の語彙史を構築した。本研究は、来たるべき、中国語方言語源辞典編纂の出発点となるとともに、comparative methodを用いた音韻史研究の中国語方言学における実践例ともなる。
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