• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

清代中国語における全出現語彙の意味分類による計量言語学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K02685
研究機関熊本大学

研究代表者

植田 均  熊本大学, 大学院社会文化科学研究科, 教授 (90176595)

研究分担者 木村 裕章  東亜大学, 人間科学部, 教授 (70330719)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード影印本使用 / 清代北方官話 / 意味分類 / 意味の拡大・縮小
研究実績の概要

清代北方官話区域内の白話資料を初期、後期の2期に分ける。H28年度は、清代初期の代表的白話資料<<醒世姻縁傳>>の全語彙を意味分類している。語彙の変遷を見る上に於いて欠かせないのが「全語彙の意味分類」である。コアの1つである<<醒世姻縁傳>>ではどのように使用されているかを掌握できれば、次に予定しているコア<<児女英雄傳>>とも比較対照でき、興味ある結果が出現する。
まず、清代当時の言語を反映していると思われる「影印本」を使用した。これにより、原文をいちいち確認し、できる限り当時の言語様相を再現させる。影印本は、アテ字が多く使用されており、本来の文字は何かを推測するのも手間がかかるが、重要である。
その次は、「意味分類」する作業で、大きな意味範疇のグループ分けが必要である。この場合、「近世語の意味分類表」等があればよいが、皆無なので<<現代漢語分類詞典>>(1988)を基本とした。意味分類の標準的なモデルケースを用いないで、各々が勝手に分類を行えば「意味分類の統一や普及が困難」だと思えるからである。しかし、該書は現代漢語を基準としていて、そのまま鵜呑みにはできず注意を要する。大範疇の意味分類から下位の意味分類へと分類してゆく。個々の語彙には、現代漢語と比較して意味の拡大・縮小など変化が多々見られる。その意義項目ごとに「意味分類」を行う。どの分類にすればよいかが最大の問題点で、判断には極めて高い注意力が必要とする。
<<醒世姻縁傳>>から抽出した語彙、フレーズに意味分類した原稿を作成し、ある程度作成できるたびに協力者によってPC入力して貰う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 四月に「H28年度熊本地震」が発生し、メンバーの多くが被災したため、軌道に乗るのが遅れざるを得なかった。それ故、代表者は休日を全て返上した。
2.当時の影印本は、活字本に比して印刷が不鮮明な箇所が多く存在するので、読み解くのに時間がかかる。更に、発音(同音及び近似音)からの当て字、字形(類似形)からの当て字が多く、深い読解能力を要するため、全て手作業に拠らざるを得ない。また、我々は、「原文」をいちいち確認し、当時の文字を再現させている。
3.現代語では通用しない意義が存在する。現代語と比較して<<醒世姻縁傳>>に意義の拡大縮小、消滅などがあり、注意が必要である。但し、現代語との比較は、語彙語法の変遷が概観できる利点があると再確認できた。
4.意味分類は、<<現代漢語分類詞典>>(1988)をベースとして使用。なお、日本語解釈の分類法と漢語そのものの分類法では差があり、どの意味に分類すれば最適なのか迷う場合も多々あった。このため、当初の予定よりも意味分類に手間取っている。
5.科研費は、多くを謝金として使用した。それは、<<醒世姻縁傳>>から引用した例文の語彙に該当する意味を大きくグループ分類し、日本語訳、現代漢語訳を付した原稿をPC入力してもらうのに支払った。彼らは、現代漢語、古代語、日本語の3種類が理解できる所謂「専門家」でないといけない。それでも、入力ミスがあるので再度校正点検しなければならない。幸い、多くのPC入力協力者が輩出したのでほぼ予定通り実施できている。

今後の研究の推進方策

1.現在、意味分類を行い、それを先ずアルファベット順に並べてPC入力しているが、次の段階では、意味分類ごとに例文を排列するように予定している。シソーラス辞典を目指している。
2.ただし、意味分類の時点で、分類に間違いが無いか否か、チェック体制を整えたい。
3.PC入力は、現代漢語、古典漢語、日本語に堪能な専門家でないと時間がかかる上にミスが多くなるので、入力の人材を更に開拓しなければならない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] <<醒世姻縁傳>>第25回訳注(其2)2017

    • 著者名/発表者名
      植田均、胡玉華、石亮亮、王シュイン 他
    • 雑誌名

      文学部論叢

      巻: 108 ページ: 71,91

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] <<醒世姻縁傳>>第30回訳注(其2)2017

    • 著者名/発表者名
      植田均、胡玉華、石亮亮、王シュイン 他
    • 雑誌名

      熊本大学社会文化研究

      巻: 15 ページ: 1,20

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] <<醒世姻縁傳>>訳注作成研究2017

    • 著者名/発表者名
      植田均、胡玉華、石亮亮、王シュイン 他
    • 雑誌名

      『平成28年度社文研プロジェクト報告書』

      巻: H28 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 中国語における目的語前置成分の属性と動詞の他動性について2017

    • 著者名/発表者名
      木村裕章
    • 雑誌名

      東亜大学紀要

      巻: 24 ページ: 17,30

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 中国語における目的語前置成分の属性と動詞の他動性について2016

    • 著者名/発表者名
      木村裕章
    • 学会等名
      日本中国語学会九州支部第2回例会
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2016-12-03
  • [学会発表] 『元刊雜劇三十種』にみえる“把”の分析――授与動詞との関係を中心に2016

    • 著者名/発表者名
      宮下尚子
    • 学会等名
      日本中国語学会九州支部第2回例会
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2016-12-03
  • [学会発表] <<醒世姻縁傳>>校注標点問題2016

    • 著者名/発表者名
      植田均
    • 学会等名
      第17届近代漢語全国学術会議
    • 発表場所
      中国・ビン南師範大学
    • 年月日
      2016-11-04 – 2016-11-06
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi