診療コミュニケーションにおける医師のメタ言語は非明示的である。従来の談話分析の手法では、分析者が最も妥当と考える発話解釈を行ってきたが、専門性の高い医師のメタ言語の正確な把握には限界があった。そこで、本研究では、複数医師に対するインタビュー・ナラティブの分析を通して、1)診察中の非言語コミュニケーション(身体診察)である医師の血圧測定・聴診の解釈、2)医師が用いる「死」という言葉の解釈、3)医師の「疾病観」と「診療観」を概観する相互行為的枠組みを明示化した。医師のメタ言語を3点から可視化したことにより、医師患者間の相互理解を進める一助となり、医師の内省の記述に基づいた談話分析の深化に貢献した。
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