研究課題/領域番号 |
16K02688
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
福嶋 秩子 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (80189935)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 言語地理学 / 言語地図の比較 / 言語地図の総合 / 準体助詞 / 新潟方言 |
研究実績の概要 |
研究代表者は1983年にパソコンを利用した言語地理学データ処理システムSEALを開発、マニュアルを出版、プログラムを公開・更新するとともに、実際の調査資料を分析し「パソコンによる言語地理学」を実践してきた。言語地理学におけるコンピュータ利用のメリットには、電子化データの再利用・共同利用の可能性、多数の言語地理学データの総合等があるが、ICTの発達に加え、3度目の全国方言調査(FPJD)が実施された今、この研究法の効果と意義がますます大きくなってきている。言語変化の軌跡を跡付け、変化の進行状況を捉えるために、研究代表者が実践してきた、調査地域が重なり調査時期の異なる言語地図の比較・総合の方法をさらに多くのデータに適用し、研究を推進する。 平成29年度は、新潟県における準体助詞の分布に関連して、全国の準体助詞の分布や新潟における準体助詞の運用の状況について研究を進め、学会発表・論文発表を行った。総合の方法として、語形のグループごとに分けて、語形ごとの頻度を棒グラフで表わす方法にたどりついた。『アジア言語地図』を作成するための共同研究(研究代表者:遠藤光暁青山学院大学教授)に参加し、研究発表会に参加する一方、インドネシア、パダンで開かれた東南アジア言語学会におけるアジア言語地理学に関するワークショップで、言語地理学の理論と方法に関する発表を行った。方言の経年変化をたどる資料としての保存および研究のための公開を意図して、過去の方言調査資料(出雲西南部)の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
方言分布の総合と比較に関わる論文執筆と複数の研究発表(国際会議も含む)を行った。FPJDとGAJ調査の分析結果をまとめた論文が『空間と時間の中の方言』の中の一章として出版された。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる今年度は、新潟方言・徳之島方言を材料に言語地図の総合と比較に関わる研究を推進する。5月にインドネシア・ジャカルタにおける第4回アジア地理言語学会、7月にリトアニア・ビリニュスで行われる方言学地理言語学国際会議で発表予定である。また、過去の方言資料の整理を継続し、最後に報告書を発刊する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に二度の国際会議に出席予定で、旅費が必要である。
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備考 |
言語地図作成ソフトSEALの紹介、SEALのシステムやマニュアルのダウンロード、関連研究の紹介などを行っている。
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