研究課題
研究代表者は、1983年に言語地図作成システムSEALを開発しパソコンによる言語地理学を提唱して以来、「言語地図を使った方言研究」を実践してきた。一枚の言語地図からことばの歴史を再構することも可能だが、多数の言語地図があるとき、類似の分布パターンを示す言語地図を総合することで、その地域のことばの歴史が見えてくる。また、異なる時期に調査された言語地図や異なる世代を対象とした言語地図を比較することで、言語変化が明らかになる。この言語地図の総合と比較の方法を組み合わせた実践として、新潟方言における準体助詞(「大きいの」、「行くのだろう」などにおける「の」にあたる)の分布と変化について様々なデータを様々な作図法によって地図化してきたが、本研究期間にその決定版となる論文を発表した(福嶋秩子2017「方言分布の総合と比較から見る方言の地域差と変化」『方言の研究3』)。また、奄美徳之島方言の動詞の活用体系の分析を行う中で、島内で体系変化が起きていることをつとに指摘しているが、その変化が地理的分布としてあらわれる事例として連用形と禁止形の地図を作成し発表した(Chitsuko Fukushima 2019 Reconsidering the Change of Adjectives in Niigata Dialects: The Prohibitive Form as Another Proof. Acta Linguistica Lithuania 79)。本研究期間に言語地理学の理論と方法について発表したり講義したりする機会があった。日本語に限らず、様々な言語の研究で言語地図を活用していくことの意義を若手研究者に知ってもらういい機会になったと考えている。地図化する資料は言語地理学調査によるものとは限らない。方言辞書の活用も視野に入れ、言語地理学の方法により方言分布と変化の諸相について追及していきたい、
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Acta Linguistica Lithuania
巻: 79 ページ: 55-65
Papers from the Fourth International Conference on Asian Geolinguistics
巻: ー ページ: 79-90
Studies in Asian Geolinguistics, Monograph Series No. 2 Proceedings of the Workshop “Geolinguistic Method and Southeast Asian Linguistics”
巻: ー ページ: 10-15