研究課題/領域番号 |
16K02690
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
竹越 孝 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10295230)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 満洲語 / 中国語 / 清代 / 北京語 |
研究実績の概要 |
本研究は、清代に刊行された満洲語と中国語の対訳会話書類を対象として、現存するテキストについての文献学的検討を行い、最良の版本に基づく満洲文字のローマ字転写及び日本語訳を作成するとともに、現存諸版本を校合した校注テキストの作成を目指すものである。本研究が提供する校注テキストによって、中国語研究者は満漢対訳会話書の満洲語部分を手軽に参照できるようになる。そのことを通じて、現代中国語の母胎である清代北京語研究の発展に寄与するのが本研究の目的である。 平成28年度の課題は、1)『清文指要』現存諸版本の校合、2)『満漢成語対待』に対する文献学的検討と現存諸版本の校合であったが、概ね所期の目的を達することができたと言える。 1)については、満洲語の会話書『Tanggu Meyen』(1750年)とその満漢対訳版である『清文指要』の原刊本系三種(1789年双峰閣刊本、1809年三槐堂刊本、1809年大酉堂刊本)及び校正本一種(1818年西安将軍署刊本)を対象として、満洲語のローマ字転写と日本語訳を含む校注テキストを作成した。 2)については、『満漢成語対待』の現存テキストに関する文献学的調査を行い、これまで知られていた聴松楼刊本、雲林堂刊本、二酉堂刊本、先月楼刊本に加えて、上記の四種とは異なる系統の刊本が存在することを明らかにするとともに、諸本の系統関係についての検討を行った。また、以上の五種を対象として、満洲語のローマ字転写と日本語訳を含む校注テキストを作成しつつある。 また、本研究課題から派生したテーマとして、満洲語と中国語が混在する形を持つ説唱文学の作品である子弟書『Katuri Jetere』を取り上げ、現存諸版本を校合するとともに、満洲語のローマ字転写と日本語訳を含む校注テキストを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の課題は、1)『清文指要』現存諸版本の校合、2)『満漢成語対待』に対する文献学的検討と現存諸版本の校合であったが、1)については校注テキストの作成を完遂し、2)については文献学的検討を終え、校注テキストの作成に着手しているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在着手している『満漢成語対待』の校注テキスト作成を完遂するとともに、平成29年度の課題である1)『清話問答四十条』に対する文献学的検討と諸版本の校合、2)『庸言知旨』に対する文献学的検討と諸版本の校合に移行する。
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備考 |
当該ウェブサイト内の電子雑誌『KOTONOHA』に本研究課題に関係する研究ノートを掲載している。
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