2019年6月に日本シベリア学会にて、ハンティ語の側面音についての発表を行った。これは、2018年度に行ったロシアのヤマロネネツ自治管区サレハルド市におけるフィールド調査で、ネネツ語以外の現地の少数民族であるハンティの言語を調査を始めた際に得られた音声データをまとめたものである。その中でも、特に側面摩擦音についてとりあげた。側面摩擦音は決して珍しい音というわけではないが、言語類型論的な特徴について考察をのべた。 このハンティ語の音声実態については、研究ノートとして神戸山手大学紀に要発表した。ハンティ語に関しては、日本語で日本で出されたものはないと思われ、初めての試みであると言えるだろう。本研究では、主にネネツ語を主軸においていたが、今後はハンティ語も視野に入れることができる基盤的な調査研究であると言える。インフォーマントはなかなかコンスタントには頼めない状況であり、今後は対象を広げていきたいと考えている。 夏のロシア調査では、サハ(ヤクーチア)のヤクーツクにおけるエヴェンキ語専門家及び、サンクトエテルブルクの専門家と会ったが、エヴェンキ語の入門書の作成に関してこちらの要望と一致した計画が立てられずに終わったが、エヴェンキ語の資料は手に入れることができた。 年度末、研究に関する活動ができるというときになり新型コロナウイルス拡感染大によって活動や移動が制限され、北海道での研究会、最後のネイティブとの確認を兼ねたロシア調査、京都での研究会に行けずに終わってしまった。
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