研究課題
基盤研究(C)
大正~昭和初期の地方出身者の言葉を反映すると思われる童話作品とプロレタリア文学雑誌の一部を用いてコーパスを作成した(未公開)。そのデータを利用して、地方出身者の用いる標準語に見られる方言からの影響等について考察した。さらに、この時期に子供向けの文体がどのように整えられてきたかについて、作成したコーパスと既存の教科書コーパスを利用し、統計的な手法を用いながら、教科書より童話の方が先に子供向けの文体を確立していた可能性を指摘した。
日本語学
本研究で作成したコーパスは、既存のコーパスには未収録のジャンルの資料を取り上げており、既存のコーパスを補完する意味がある。これらのデータを活用することで、中央における標準語に限らない多様な近代語の実態を探ることが可能となる。当該データを用いた考察で、「気づかない方言」が近代にも見られることを示したり、子供向けの文体の成立過程の一端を示すことが出来た。近年、方言の影響や、子供の言語は注目を集めるつつあるテーマであり、今後の発展に寄与することが期待できる。