| 研究課題/領域番号 |
16K02717
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| 研究機関 | 茨城大学 |
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研究代表者 |
杉本 妙子 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (30206429)
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| 研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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| キーワード | 茨城方言 / 方言の記述的研究 / 方言基礎語彙 / 多人数調査 |
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| 研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、茨城県南東部地域における方言変容の様相を、主に移住者の増加と関連付けて動態的に解明することである。そのためには、まず、当該地域方言の記述が不可欠である。研究代表者は、既に浜ことばの概要について現地調査によって把握しているが、より詳細な現地調査を行うことによって当該地域方言の体系的記述を行い、多人数調査に発展させていく必要がある。
平成29年度は、茨城県南東部地域方言の記述的研究として、下記の3点を行った。
１ 調査対象地域の基礎語彙調査のための調査語彙を検討して調査票を作成し、「人体」関連の基礎語彙調査を行った。また、基礎語彙全般に関する調査票として、先行研究と当該地域の方言資料をもとに、基礎語彙2,572語および追加参考語として当該地域の方言形830の計3,402語から成るものを作成した。このうち、本研究課題としては、「人体」に関わる語彙252語（基礎語彙201語、参考方言形51）、「食」に関わる語彙230語（基礎語彙201語、参考方言形29）、「民俗」に関わる語彙137語（基礎語彙119語、参考方言形18）を主たる調査対象語彙とし、「人体」基礎語彙について現地調査を行った。
２ 多人数調査のための準備として、調査項目（方言語彙）候補を検討した。自身のこれまでの茨城県内各地の調査結果と先行研究から、高年齢層の使用語、高年齢層～若年層の使用語（理解語）、若年層の非使用語（非理解語）と予想される各数語ずつを取り上げることし、候補語として推量・意志の「ぺ・べ」、生物目的語を表す「バ」、いい加減などの意の「ゴジャッペ」類、水につけておくという意の「ヒヤス／ウルカス」他を候補語とした。
３ 言語生活の変化に関連し得る調査対象地域の変化に関する情報として、当該地域の自治体等による報告書等や地域史資料によって、地域の人口動態や開発に伴う変化等の情報収集調査を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
申請時の計画に対して、研究の進捗が遅れているのは、二つの理由による。第一の理由は、本研究課題の採択が平成28年度第7回分の追加採択であったこと（採択の学内連絡は平成28年10月24日）から、平成28年10～翌3月の期間は校務並びに文化庁委託事業（被災地における方言の活性化支援事業）に係る業務計画の遂行と重なり、計画の実施が大幅に遅れ、その遅れが平成29年度にも継続したためである。第二の理由は、平成29年度文化庁委託事業（同前）を受託し、その文化庁委託事業について、茨城県における平成24～29年度の取り組みを総括するものとして行う事業であったことと、茨城大学の改組・カリキュラム改革に伴って校務が大きく増加したことによる。校務並びに文化庁委託事業の総括的取り組みが緊急を要したため、本研究課題を予定通り進めることができなかった。このような状況から、平成29年度の本研究課題については、上述の「研究実績の概要」で述べたことを行うにとどまった。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度までに一部しか実施できなかった調査対象地域での現地調査を、平成30年度前半を中心に継続して行い、当該地域の方言の記述を、順次、完成させていく。方言の記述は、方言全般の特色・当該地域内での地域差に焦点を当てて行う。それと並行して、当該地域における方言意識や方言認知に関する調査のための調査項目の検討を行い、調査票を作成する。
平成30年度後半は、その調査票にもとづいて多人数調査を実施する。
また、年度をとおして、方言基礎語彙（人体、食、民俗を中心に）に関する現地調査、言語生活の変化に関連する当該地域の変化に関する情報収集、方言談話収集調査等を継続的に行う。
なお、これまでの進捗状況から考えて、平成30年度の当初計画の一部は平成31年度（本研究課題の最終年度）に行うことになると予想される。平成31年度の当初計画は研究成果の報告書等への取りまとめ・公表が主たるものであり、あらかじめ時間的な余裕を考慮した計画としているので、前年度の計画の残りの一部を平成31年度の前半に実施し、本研究課題を完了させることは可能であると考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の採択決定が遅かったため、初年度の平成28年度の研究の遂行が遅れ、さらにその遅れが平成29年度に吸収できなかった。そこで、平成29年度末までに実施できなかった研究については、それに相当する未執行予算を平成30年度に使用し、遂行できていない研究計画と合わせて平成30年度の研究を進めていく。
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