研究課題/領域番号 |
16K02719
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
月本 雅幸 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (60143137)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 訓点資料 / 日本語史 |
研究実績の概要 |
本研究課題は日本語学の立場から、鎌倉時代に訓点の記入された仏典関係資料のうち、真言宗系の訓点資料について、それを1つの大きな資料群としてとらえ、その訓点の言語の特性を分析・記述し、その上でその結果を総合することにより、鎌倉時代の真言宗系訓点資料の全体像を明らかにしようとする。これによって、従来平安時代の訓点資料の研究に比して遅れがちであった、鎌倉時代の訓点資料の研究を格段に発展させ、日本語史資料として訓点資料をよりよく活用する方法を見出そうとするものである。本年度はこの観点から、次のような研究を行った。1)重要資料の選定 本年度の主要な研究対象である、儀軌類の重要資料の選定を昨年度に引き続き行った。2)訓点資料の原本調査 書誌的なデータを採取し、加点年代等、基礎的な事実を確認、点検した。3)訓点資料の撮影 原本調査の対象のうち、重要且つ許可を得た訓点資料について、 研究資料とするため、原本の撮影を実施した。4)訓点資料の解読 撮影したものを中心に、調査した訓点資料を解読し、鎌倉時代の 訓読の様相を再現するように努めた。5)訓点資料の分析・検討 個々の訓点資料について、そこに記された言語の性格、特に年代性に注意しつつ、使用された語彙や語法から、その言語が新しいか古いかを判断する作業を実施した。その結果、鎌倉時代の訓点資料は、平安時代の伝統を保持しながらも、新しい時代の語法を反映する場合のあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の実施については、ほぼ順調に推移しているものの、本課題が対象としている鎌倉時代の真言宗系訓点資料の言語が、平安時代のものとどれほど共通する面があり、また、どれほど相違する面があるかについて、より精緻な検討が必要であると考えられたため、研究期間の延長を申請し、許可を得たものである。
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今後の研究の推進方策 |
従来の訓点資料に関する研究は平安時代のものを対象とすることが大部分であって、これは漢文の訓読結果を文字や記号で記入するという習慣が8世紀の末から始まったため、その最初の時代に書かれた資料を中心に研究を行うことが自然であったためであるが、それだけに鎌倉時代の資料にどれほどの変化が生じたかについて、微細な点も含め、検討しなければならないことが明らかになった。これについて1年間の研究を推進し、この研究課題を完結させたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究のより一層の精緻化のために、研究期間の1年延長を申請することとし、そのために必要な最低限の金額の支出を令和2年度に繰り延べたためである。また、令和2年3月に予定していた、研究資料の現地調査(京都)のための出張を、新型コロナウイルス感染拡大のため、令和2年度に延期したためでもある。
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