従来、節用集諸本は、国語資料ことに語(彙)史資料として用いられてきたが、今後は、節用集諸本の成立背景・性格にも考慮した、より深い次元での利用が期待できるかと思う。また、節用集諸本は、人文史学の諸分野が注目するところであり、その方面の研究者への情報提供が、より効果的・効率的になされることが見込まれる。 節用集などの付録にある諸情報が、当時の日本人の社会性・行動規範を育んだと見る向きもあり、それは世界史的にも注意される「パクス・トクガワーナ」(徳川軍事政権下における平和)の維持・形成にも寄与したことも考えられないではない。本研究による成果は、学際的・国際的な日本研究に資する可能性がある。
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