研究課題/領域番号 |
16K02730
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
大島 資生 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (30213705)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 日本語 / 英語 / 複文構造 / 分詞構文 / 翻訳 |
研究実績の概要 |
以下の作業を進めた。 (A)既存の日英対照データ(Scott Fitzgeraldの小説 The Great Gatsbyの原文、5種の翻訳を表計算ソフトExcelのファイルに入力し、一覧できるようにしたもの)を利用し、分詞構文に対応する日本語訳文の表現を、以下の点に留意しつつ分析した。 (1)各要素の訳出の順序 (2)分詞句に相当する部分を別の分として訳出するか、あるいは一文とするか (3)一文とする場合、連体修飾節を用いるか、あるいは主文に相当する部分と分詞句に相当する部分とを接続助詞などでつないでいるか (4)接続助詞を用いる場合、どのような助詞を選択しているか 分類・整理のために(1)~(4)について指標を与えているが、現時点では暫定的なものであり、今後改善の必要がある。なお、ここで用いている翻訳は以下の通りである。大貫三郎訳(1957年)・野崎孝訳(1974年)・橋本福夫訳(1974年)・村上春樹訳(2006年)・小川高義訳(2009年) (B)Earnest Hemingwayの小説 The Old Man and the Sea 原文から、分詞構文等を含む文を抽出、入力作業を行なった。原文のテキスト・ファイルを入手し、(A)と同様の形式でExcelファイルを整形するための準備を行なった。(A)のデータは原文に関係節および分詞構文を含む文を選び、対応する訳文が入力されている。今回の研究では、分詞構文のほか、関係節や従位接続詞節を含むものも含めたほうが比較・対照のためには望ましいと判断し、これらを含む原文も抽出することとしている。原文を抽出する作業と平行して、対応する5種の訳文についても入力準備を進めている。ここで用いる予定の翻訳は以下の通りである。福田恒存訳(1966年)・中山善之訳(2013年)・小川高義訳(2014年)・宮永重良訳(2015年)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Earnest Hemingwayの小説 The Old Man and the Sea 原文の電子ファイルから、分詞構文等を含む文を抽出し、Excelファイルを整形するための準備を行なった際、ファイル整形に予想外に時間を要したことによる。すでに入力計画を見直しつつあり、平成29年度の早い時期には作業の遅れを取り返すことができる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
以下の作業を中心に研究を進める予定である。引き続き、日本語訳文の表現を分析する。それと並行して新たなデータの抽出、入力作業を進める。また、日本語母語話者を対象として、訳文の構造を「並列的」「階層的」のいずれと評価するかについて調査を設計、予備調査・本調査を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ作成のためのファイル整形に予想外に時間を要し、入力作業が予定通りにできなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の早い段階に、本年度に使用する予定だった謝金を使用し、入力作業を行なう予定である。
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