抽象的な意味を表す名詞は、その文法的な性格についての研究があまり進んでいない。本研究は、名詞に関連が大きい諸構文、すなわち、存在文、いわゆる文末名詞文、いわゆるカキ料理構文、モノダ文、コトダ文といった諸構文について、各構文の下位分類とその相互関係、および、名詞の意味類型と各構文の関係を考察した。人の性質を表す名詞を例に取れば、より抽象的・非限定的な属性を表す「性格、性質、気質、人格、人柄、体質など」と、より具体的・限定的な属性を表す名詞「長所、短所、弱点、個性、癖、特質、特色、特性、才能など」との間において、諸構文における用法の相違があることを明らかにした。
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